2012年7月31日火曜日

人間の中に備わる力

殆どが手作り
今日のHUGハウスの活動は地元スタッフ二名で担って下さいました。
『みなし仮設』に暮らすある方は「くよくよしても始まらない・・」と、身近にあるものを利用して作品創りをしながら前向きに過ごしておられます。さまざまな作品にはアイディアが満載!生きる知恵です。
自分が行ってきたことや、行っていることを評価してもらうことは、相手の方にとって、喜びと同時に、自己肯定感を味わいます。訪問してくださったスタッフによって、そのどちらも味わわれたことでしょう。今日の喜びは明日への希望に繋がる尊い体験です。

牛乳パックと布で作った
薬箱
トウモロコシであんだ
草鞋

エプロンをリサイクル
カーテンがめくれない
工夫
庭先で育てています




『志津川中学校仮設』での訪問では、あの日、お母さんのお腹の中にいた、赤ちゃんと出会いました。志津川の、町の景色は、何もなくなったまま変わらないでいますが、命は、確かに成長し続けています。お母さんの不安を支えたのは、お腹の中にいた命なのでしょうね。
もとの町の姿は、すっかり変わってしまいましたが、命の営みは変わらずに、自分から子へ、子から孫へ繋がっていきます。人の中に生まれるアイデアのお蔭で、文明も進化し続けてきました・・。受け継がれる命の尊さや、成長し続ける人間の中に備わる力に畏敬の念をおぼえます!





仮設以外の建物がほとんどない南三陸町内には、日影がありません。仮設敷地内はほとんどが舗装整備されており、過酷な照り返しを余儀なくされます。こうした中でも、一人でも多くの方に出会えるよう、訪問を続けて下さる地元スタッフの皆様に頭が下がります。
本当にご苦労様でした。そして、有難うございます!
*本日夕方遅くにマドフォは南三陸に到着。明日からの活動に合流いたします。
 (記:マドフォ)

2012年7月29日日曜日

人間復興の一助となることへの期待

関西ブロック代表の山本さん
(志津川高校避難所で一か月半滞在し心のケアに従事)
南三陸町に滞在しているHUGハウスの神戸メンバー3名は、臨床パストラルケアカウンセラーの有資格者です。全国9か所のブロックに分かれており、私たちは関西ブロックに所属しています。
本日、京都で行われたブロック会議に参加いたしました。





関西ブロックメンバー3名が、昨年より被災地での支援に入り関西不在。今後も滞在を延長することもあり、検討事項の一つとして「被災地において、養成プログラムのいくつかを行ってはどうか」、について話し合う機会もありました。養成を受けている方と罹災された方にとって双方にとって有益なこととして受け止めていただきました。









今回参加した多くのメンバーは南三陸町を訪れており、被災地で何か支援を行いたいと思っている人も多い現状を考えれば、被災地で必要とされる支援や、相応しい支援の在り方を肌で触れていただける機会にもなるのではないかと、センターやブロックとして取り組む姿勢をもっていただけたようです。

被災地に於ける、人間復興の一助となることを期待いたします。(記:マドフォ)

コップの中に折鶴
お客様を迎えるホスピタリティの顕れ


2012年7月28日土曜日

『今を生きる力』

有難うございます
えみちゃんお一人で担って下さった今日の活動。
『佐沼』のみなし仮設と『南方仮設』に暮らす方の個別訪問を行って下さいました。

あの日、ご家族がみんなバラバラになったまま安否も解らず、胸がはち切れそうな思いで過された数日間。当時の思いに耳を傾けさせて頂きました。現在は、仕事の関係でお嫁さんだけ離れて暮らす日々だそうですが、「たまに家族が揃う時が、とても大切な時間です」と、お話下さいました。写真は南方仮設に住む夫のお母様です。

南方仮設近隣での火災
また、ある方は、コンクリートで建つ自宅屋上に子どもを持ち上げ、押し寄せる津波から守り無事に避難できたことをお話下さいました。

安否を気にかけ過ごすとてつもない不安感を支えた力や、必死に子どもを守った判断と行動に、ご自分の中にどの様な働きが在ったのか・・。きっと話されるたびに、ご自分の内にある力を味わわれていることでしょう。語ることで、その力が明確となり、ますます『今を生きる力』となることを希望します。


話せる相手となりその方の前に身を置く、尊い働きを担ってくださったえみちゃんに有難うございます。そして、暑さの中、訪問を続けて下さり感謝申し上げます!


帰りがけ火災を発見。暑さのあまり人影のなかった仮設にあっという間に人が集まってこられたそうです。大惨事を体験された方々の、素早い緊急モードの行動に胸が痛みます。民家の方のご無事を祈ります。


神戸で行った『定例会』では、一同が久しぶりの再会でした。今回の参加者は殆どが、南三陸を訪れて下さっている方たちばかりです。先日Come&Seeで来てくださった松田さんの奥様は、8月早々にご子息とともに南三陸を初訪問をするの予定です。
 (記:マドフォ)


2012年7月27日金曜日

地元スタッフの尊い働き

誇らしげに見せて下さった参加証
10回出席でご褒美があるとか
今日は、地元スタッフ『ルミちゃん・すみちゃん・けいちゃん』での活動。『南方仮設』での訪問を行って参りました。
Ⅰ・Ⅱ期を合わせると300戸ほどあるマンモス仮設では、さまざまなイベントや行事が日々続いています。しかし、全ての人が参加している訳ではなく、また、周囲が賑やかになるほど落ち着かない気持ちになる人も多くいます。

個別での訪問は、これまでに出会った方への再訪や、事前情報を得ている方を訪問したり、まだ出会っていない方へ出会いのチャレンジをしたり・・。関係性の輪を広げたり、関係性を深めるための工夫をしています。
今回初めての出会いとなったある方は、津波直後から自宅の写真を撮り続けていたそうです。避難所も何度か変わっておられ、その度に知り合った方々と写真を撮っては、コンビニで写真をやきまわし、配っておられたとか・・。家も家具も、思い出の詰まった写真も全て流されてしまったこの方にとって、写真を撮り、相手の方とともに共有されることには深い意味と思いがあるようです。

聴いてくれる人が存在することで、自分の思いをどう整理しているのか、ご自身で確認することができます。体験したことを振り返ることは、気持ちを整理していく過程でもありますが、辛い体験であるほど、一人だけでは、思い出すことも、気持ちを整理することも難しいものです。
今日の出会いを通して、お一人お一人の気持ちに寄り添って下さった、スタッフの働きによって『今の自分自身を確認』できたことでしょう。

地元スタッフご自身が罹災しており、様々な喪失感のただ中におられるにも関わらず、その自分を脇において、目の前にいらっしゃる方自身が自由になられるよう働きかけて下さっています。尊い働きに感謝!
(記:マドフォ)

2012年7月26日木曜日

『私を気にかけてくれる人がいる』・・HUGを贈る

(神戸での定例会とパストラルケア関西ブロック会議出席のため今日からHUGハウスは地元スタッフのみで担って下さいます。)

今日は個別訪問の一日でした。
戸倉地域『滝浜』でみなし仮設に暮らす方を訪ねました。周辺には一軒の民家もなく、山の奥にひっそりと建つ住宅に住んでおられます。訪ねてくる人は郵便やさんとクロネコの配達員さんだけだそうです。広報はかろうじて届くものの、被災地の情報もほとんど入ってこないそうです。


訪問をとても喜び、ランチまで用意してくださいました。ご一緒させていただいたひと時は、もてなしに伺ったつもりが、もてなしを受けたひとと時となりましたが、出会った方にとって『もてなすことの喜び』を味わえた時間だったのだと思います。目の前で豆を挽きコーヒーを入れて下さり、語らいのひと時は「あなたが居る(来てくれた)からできること」。ルミちゃんの訪問がどれほど嬉しかったことか・・。
ブログでも度々触れていますが、みなし仮設に暮らす方の孤独感や孤立感には計り知れないものがあります。その思いとともに日々過ごさなければならないことは、自分自身の存在価値を揺さぶります。『誰も来ない』ということは、『世間から忘れられた自分』を認識させられるようなものです。
手製の梅サワー
『私を気にかけてくれる人がいる』ことを味わえたことは、どれ程その方を勇気づけたことか。そして、自分を活かせる機会を与えて下さったことで、活き活きとしたかけがえのない時間となったこでしょう。

午後からは『沼田Ⅱ仮設』を訪問。仕事についている方も多くいるようで、仮設内での交流はほとんどないことから、定期的な個別訪問の必要性も高いところでもあります。

みよちゃんが差し出して
下さった『心』
自営の『菊農業』が忙しくなったみよちゃんは、HUGハウスでの活動を共に行うことが出来ませんが、これまで出会った方々へいつも心を寄せていてくださいます。ルミちゃんが住んでいる「小森仮設」の皆さんにと、菊を下さいました。狭い仮設でも飾ることが出来るようにと、短くきって下さっています。

御商売道具でもあるにも関わらず、差し出して下さるその心は優しさや思いやりに満ちています。一つ一つの暖かな思いやりが、人の心を癒します。離れていても出会った方々にHUGを贈られるみよちゃんの姿に学びます。(記:マドフォ)

一人だけで活動を
担って下さいました。
優しい心遣に
尊敬します

イエスのカリタス修道女会で傾聴の研修

 今日はイエスのカリタス修道女会 管区本部でシスター方のための傾聴の研修を行いました。come&see in 南三陸を体験されたシスター大野がつないでくださったことがきっかけです。

3月25日には「天使の歌声 スモールクワイアIN南三陸(入谷四季の里)」をプレゼントしてくださいました。心から感謝いたします。今年は創立75周年とのこと。おめでとうございます。

今回の研修では南三陸での活動の紹介も交えながら、心のケアと傾聴の大切さ、捧献生活を生きるシスター方にもお役に立てるような内容で準備しました。これからも一緒に学んでいけたら嬉しいです。

修道院の前で

被災地で活動する私たちのために、休養の時間と空間をありがとうございました。ホスピタリティなもてなしをいただき至福の2日間を過ごさせていただきました。あたたかい思いやりと心遣いに感謝いたします。


25日はリピーターボランティアのスヌ校長と飼い主さんにお会いすることができました。また南三陸でお待ちしています。(記:堤)

2012年7月25日水曜日

「海が憎い・・でもここで生きてくしかない」

今日の午前中は『入谷小学校仮設』でのケアカフェOpen.
肉屋を営んでたこの方は、地震直後の店内を写真に収めました。懐かしむように見ている写真は、在りし日の店内です。この数分後に、建物は流されてしまいました。


ある女性の甥御さんは役場勤めでした。あの日、防災庁舎の屋上から姿を消してしまいました。「昼間の地震。津波まで十分に逃げる時間があったのに、流されてしまった。弟夫婦は毎日泣いている・・」。数十年前、この女性のご子息が小学校2年生の時、海水浴に出かけて亡くなられたそうです。「海が憎い・・。でも、ここで生きていくしかないんだ」。泣いてばかりいた当時を思い出し、弟の悲しみに心を寄せておられました。

年老いた親が家屋を流され、住まいを失う。一人暮らしを案じてご夫婦がそれぞれの親御さんと共に暮らすため、家族が離れて暮らす。夫婦で出した決断だそうです。「そういう人多いよ」・・と、何とも割り切れない思いを語ってくださいました。
震災によって変わってしまった人々の日常は、取り戻すことができない大きな傷跡を残しています。


午後からは個別訪問でした。
ご子息を亡くし、お嫁さんが精神を病み入院されたという方や、ガンを患い明日から治療入院されるという方を訪ねて行きました。

「かったるくって、メシも食えない」と、険しい表情とイライラした口調でそう仰る方の足は3倍くらいに膨れていました。そうした状態であっても訪問者を快く迎え入れ、もてなして下さいます。話しているうちに表情に笑顔が差し、この方の食料でもある、栄養価満点の自家製野菜ジュースを二人で頂きました。今日初めて口にする食料ださうです。「元気がでてきた。あんたになんか土産でもやりたいけど・・何にもないな・・」と仰います。明日の治療に「達者で行って、達者で帰ってきてください」それが何によりの土産です。笑顔で見送って下さる姿は喜びに溢れているようでした。(記:マドフォ)

2012年7月24日火曜日

精一杯『祈り』ます

『個別訪問』に出かけた今日の午前中
ケアカフェ初開催の時に来てくださった、ある方が気になっていました。「あの日は初めて出かけて行ったの」と、病気の治療をしていることもあり、気が進まず、それまで何の行事にも参加したことがなかったとのことです。
船乗りだったご主人は、一年以上家を空けるという生活でした。船を降り「これからやっと毎日家族で過ごせる。夫婦で過ごす時間を楽しみにしていた。」その矢先に震災が起こりました。そして、身体に現れた異変・・。

震災は、さまざまなものを変えてしまいました。町の姿、大切な人との関わり、人の人生・・。その方に一度に襲った艱難・・、その相手の方を前に、あまりに無力な自分を差し出すことしかできませんでした。その方の回復を信じて、病気と闘うその方がもつ力が勝っていることを信じて、精一杯『祈り』ます。
初めて開催したカフェに来てくださった『働き』はなんだったのでしょう。『出会いの不思議さ』大いなる働きに感謝いたします。

チビもカフェに参加!
午後は『童子下仮設』でのカフェでした。
(記:マドフォ)

2012年7月23日月曜日

命の品格

今日はケアカフェのご案内と、個別訪問・個別ケアの一日でした。

8月の開催日が決定した、『枡沢・岩沢・廻舘・荒砥・米谷』へのご案内に出かけて行きました。訪問先でも自治会長への挨拶はもちろん、集会室に集っている方やちょっと気になっている方を訪問し、積極的に声を掛け出会ってもいます。

『若者体育館・横山・志津川中学校』への個別訪問では、『傾聴』をおこなうことを主として伺います。
気持ちが落ち込み体調まですぐれない方との出会いでは、十分に話せたことで気持ちにゆとりができ、体調にも変化が訪れたようです。人間の繊細さを味わいます。

震災後数ヶ月して、ご家族が突然亡くなられてしまった方を訪問させていただきました。その方の内面には、日に日に不安が募っています。『変えられない現実。受け入れることが出来ない現実』。「なんでこんなことばっかり?」「何か悪いことしたからこんなことが起こるの?」。悲しい現実にたいする、この問いへの答えはありません。ただこの方が『叫べる相手。話せる相手』になられる存在が必要です。叫んでいる方の、生きる力を支えることが大切です。

向き合わせていただいていると、その方の『涙の質が変わった瞬間』がわかります。不安や憤り、怒りの感情の先に『腑に落としたもの(癒し)』を、その方自身が掴みます。
素晴らしい瞬間です。命の品格に触れさせていただき感動します。
その方の人生と、命にたいする証人とさせていただけることを幸いに感じます。
人間の内面に備わっている回復する力に感謝!
(記:マドフォ)

2012年7月22日日曜日

はかり知れない思い

今日は『中の町仮設』でのケアカフェOpenでした。
外出や甲子園野球観賞の方が多く、カフェへの参加は少数でした。
仮設に住み始めてから約一年、皆さんが平穏な日常を取り戻しつつある様子が感じられます。

しかし、話題が震災時のことにおよぶと、「あの時に、なんであんな事が出来たのか?今思えば不思議なの」。ぬかるみに身体が半分沈みながらも、ガレキをつたい数キロの道のりを、自宅に向かって歩き続けたことをお話し下さいました。家族の安否が解らないまま過された数日間や再会の時の感動には、はかりり知れない思いがあっただろうことを味わいます。


近隣仮設に住んでいる方も散歩の途中に、カフェに参加。先の見えない不安はあるけれど、「焦っていても仕方がない」・・と、ある方は、震災前のたった半年の間に、お姑さんとご主人を看取られ、その翌月に罹災。人生の残酷さを、何度も乗り越えて来られた方の言葉には説得力があります。


午後には、コミュニティにおける孤立や引きこもり気味の方などいらっしゃるか等について、情報収集を行いました。えみちゃんご協力有難うございました!
(記:マドフォ)

2012年7月21日土曜日

『大切なものほど目に見えない』もの

HUGハウス拠点への今日のお客様。
複数の大学の教授や准教授の方々で構成された、グリーフケア研究を行っておられるメンバーの方々が訪れて下さいました。
(帝京平成大学・札幌医科大学・足利短期大学・東北文化学園大学)


HUGハウスの活動に関心をもってくださり、被災した町に住む人たちの変化の様子や、心のケアを担っている専門的な視点からの気付きなどを報告させていただきました。
町がまるごとなくなり、一瞬にして人生が変わってしまった人たちに多く触れていただき、その現実のただ中にいる、人間の在り様に更に注目していただきたいと思いました。
より専門的な人材を養成されている教育者である立場の方々が、必要ではあるけれど『生産的でない』事柄(心のケア)を、大切なこととして研究してくださることは有難いことです。
『大切なものほど目には見えない』ものを、見えるものとなれるように社会におけるシステム創りに力を注いでくださることを期待致します。HUGハウスを広報してくださいました西城さん、有難うございました。

8時前からOpenとなった『朝カフェ』。三滝堂整備を担って下さっているやまちゃんは、ほぼ毎朝報告のために訪れて下さいます。今日はお休みにも関わらずいらして下さいました。

毎週土曜日に横浜から南三陸にボランティアに訪れている結城さんは、慈愛(めぐむ)さんを案内して来てくださいました。
主に漁業とダイバーのボランティアを担ているお二人です。
さまざまなボランティアの働きがあるものの、南三陸町でのボランティア受け入れは『ガレキ撤去』のみとなっています。独自で活動を継続するには、人と人ととの繋がりと、自らの意思が必要です。尊い働きを担うお二人に、尊敬いたします。

最近特に大工仕事で忙しくされている長さんは、五右衛門風呂用に廃材や木屑を持ってきて下さいました。今日から報告会のため地元に戻られる前に、配慮してくださいました。長さんの思いやりに支えられてます。
(記:マドフォ)