2012年11月30日金曜日

この地の習慣を変える一歩へ


外に出る人も少なく・・
「あなたたちがする、カフェが何より一番良いのよ」(女性)そして「物資より何より、あんたたちのように訪問してくれる人、年寄りの話を聞いてくれる人が、何より一番必要なんだよ・・・」(男性)
 上記は地元スタッフのすみちゃん・けいちゃんが午後から、次回のカフェの案内に出向いていった先の仮設住宅で出会った方から受けた感想でした。なかなか仮設住宅の部屋から出て行ける場所もない中、一人で部屋に閉じこもりがちな高齢の方々が多いです。50余りある仮設住宅の何処に、誰が一人ぼっちになっているかは、到底分かりません。孤独の中で、辛い思いを持ち話を聴いてくれる人の存在を求めている人へ繋がっていけるように日々工夫と努力です。そんな中、スタッフ二人が出会えた方々の感想は、スタッフにも喜びになりました。このような出会いを支えにしながらも、根気を養っていきたいものです。

 
アワビ漁から戻ったトラック
今日の獲れたてのアワビ
さて、今日の南三陸町はアワビの開港の日でした。昨年はアワビ漁がなかったために、震災後初めて漁の再開になったようです。今日、カフェを開いた戸倉地区にある自然の家仮設住宅にお住まい方々の多くは、漁師関係なので、仮設住宅内はトラックの行き交いや人の出入りが何時になく賑やかさがあり活気があるように感じました。カフェ開始時間帯が丁度、漁から戻ってくる時間に重なり、獲れたてのアワビを見せていただけました。立派に育ったアワビを漁れる喜びは、とても大きな喜びになるでしょう・・が、漁の再開を果たせなかった方々もおられるだけにとても複雑な思いです。

  今日のカフェは、アワビ漁の影響もあってか、参加者は11人。スタッフはカフェだけではなく、戸別訪問にも分かれることが出来ました。個別訪問では、日中部屋で過ごしてばかりの男性の部屋へ・・・、「もう早く死にたい」とこぼすその方の話を聞いていると、何もできなくなった自分自身が家族の迷惑ものになっている事で苦しんでいる様子でした、そのために家族の世話にならないようにしている思いを分かち合ってくださいました。人の価値は何かを考えっせられる出会いかもしれません。
また、会いに来て欲しいと願う、その方の思いを大事にしたいと思います。
 
 
 
カフェをした自然の家の集会室
終了前にキャンドル黙祷
カフェで行う、ワンポイント学習の中に、互がいに心を支え合える関係のために、『守秘義務の大切さと噂話の弊害』を挙げています。今日はワンポイントの時間はありませんでしたが、ある高齢の女性が「『人の噂話はしない、いない人の話はしない』と教えてもらえたのは良かった、これまで出来ていなかったことが変わってきたみたいだよ」と感想を伝えてくれました。

 他者を信用して内面を語れる関係の難しさは、この地に大きく根付いているように感じています。その中でも、この習慣を変えていける気づきと力に、カフェに集う人たちと一緒になっていけたらと願いたいものだと痛感しました。(記:宇根)










2012年11月29日木曜日

大切なスタッフの一人ですから・・

今日のHUGハウス田尻畑
27日から、スタッフのケアーのために駆けつけてきてくれていたOさんが今日で帰省しました。期間中、スタッフの疲れを取って下さり心より感謝です、Oさん、ありがとうございました。

 HUGハウスで働く地元スタッフは、日々過酷な状況に置かれている中でもよく頑張っています。自分の体調をおしつつも頑張っているところも、当然にあるのでしょう。今、スタッフの一人が体調コントロールのために短期入院中です。既に入院、何日目にかなっていますが、他の入院している方々への傾聴もしている様子・・・、日頃の傾聴への姿勢を「生きている」証拠かもしれませんね。その存在が、入院している方々にとって、僅かながらも生き生きした時間を与えるものとなりますように願います。同時にしっかりと体調を戻して、一緒に仕事に復帰できますようにも祈っています、大切なスタッフの一人ですから・・・。
戸倉地区にある仮説住宅

 
手のひら地蔵を旅立った
妻の遺影の前に
今日の活動は、午前・午後とも個別の訪問を行いました。戸倉地区・横山方面に出かけていきました。戸倉地区では、今年になって妻が旅立った方を訪問。持参した手のひら地蔵を遺影の前に置きながら、妻の思い出話をしてくださいました。「もう、ここまで年取ってくると、いいことなんて残っていないね。何もすることないと、こうして家内に愚痴こぼしたり笑ったりしているのさ」と語る口調には寂しさが募っているようです。急な旅立ちだったようですが、60年近い年月を重ねた思いを一緒に聴くことで、ご先本人の思いの中に生まれ出てくるモノに尊いものを発見できたら嬉しいです。


座布団も準備して待っていました
また別のチームも地蔵さんを持参して個別訪問を行っていました。震災で夫
が流されてしまったHさん宅を訪問。地蔵さんにとても喜ばれました。地蔵さんのために、座布団を準備して待っていてくれたようです。地蔵さんもですが、時間を割いて来てくれたこと自体も大きな喜びだった事でしょう。
 また、今日は訪問した際にある方から、是非訪ねて欲しいと頼まれた方を訪ねていきました。津波で自分が生き残った事への罪悪感を抱いている様子の方です・・。今回の訪問は、初対面であったために関係を作る事がメインでした。それでも、同じく被災して志津川に住んでいる住人同士だと言う事に安心されたようです。もし、必要とされるのでしたらきっと出会いが膨らんでいくことでしょう。何より、嬉しく思うのは、訪ねていった方が心配な人を紹介して繋いでくれたことです。
 この繋がりが、互を支え合うきっかけへと変わっていきますように希望しています。(記:宇根)

2012年11月28日水曜日

コツコツと個別の出会いを

 「息子たち夫婦は、となりの街に家を借りて住んでいる。ここに残ったのは、年取った私たち、ばあちゃんと、じいちゃんだけ・・。一緒に住むには部屋も狭いし、だから私たちは此処でね・・仕方ないよ。」 今日、ある仮設住宅を個別に訪問してで出会ったSさんが話してくださいました。話の中で、家も流され、数十年らいの財産も、そして将来に家を建てるにも叶わない現実をとつとつと話してくれる中、「この状況の中でも、よく折れずに居られますね」と質問してみると、「そりゃ、・・我慢して、我慢して、我慢するしかないでしょ」という返事が帰ってきました。我慢するしかない・・・Sさんの心を支える『我慢する力』を生み出せるのが、きっとあるのでしょう、そこが何であるのか、今回は聞きそびれてしまいました・・・、次回に、教えて欲しいものです。
 

ローソクを囲んで黙祷
カフェ風景
今日の午前中のカフェは、廻舘仮設住宅で開催しました。参加者は自治会長さんの出席もあり7人。また、声かけを行った際に、談話室までは行けないという方を訪問することも同時に行い1件を訪ねました。最近、体調の不調などに伴い自室内から出てこない方も増えているのかもしれないと実感しています。スタッフは参加者の間に入りながら、なるべく個別に話が聴けるように努力していますが、出来る時もあればなかなかそうも行かない時もあります。スタッフも日々意識を高める必要を感じます。

次回まで・・・HUG
カフェ風景
午後からは、個別訪問に出かけました。合計、5箇所の仮設住宅を訪問してきましたが、拠点がある田尻畑から移動するだけでも時間がかかります。移動距離と、話を聴く時間を合わせると、半日だと1件か2件が精一杯かもしれません。それでも、次第に寒さが厳しくなっていく時期、談話室までも行けない、あるいは談話室さえ空いていない・・・等の理由で閉じこもりがちな方々が増えてくる時期なのでは、と懸念します。
 地道に信頼を深めつつ個別への訪問を重ね、つながる人々をコツコツと増やしていきたいものです。そのために、私たちには忍耐が必要なのだと感じています。
(記:宇根)



2012年11月27日火曜日

薬を使わない「心のケア」の提供


旧戸倉中学校跡地にある仮設
今日は、日頃カフェに行っていない戸倉地区にある、戸倉中学校仮設住宅へ、サプライズカフェに出向きました。
 昨年の夏に、同様にサプライズのカフェを行って以来の実施です。これまでは、大きなボランティアグループがお茶会をされていたようなので遠慮もありました。この度は、以前から関わりのあった方々の近況なども知りたいこともあり実施に。

サプライズでのカフェ風景
HUGハウスの紹介
サプライズカフェは周知なしのカフェです、出会いがあるかどうかは出向いてみないと分かりません・・、そのような状況で、今日もスタッフ5人で出かけてみたところ、談話室に集まっておられた方々があり、訪問理由を伝えると心よく招いてくれました。早速、セッティングをしてカフェに・・・。また、声かけに回るといいとのアドバイスに個別に声かけにも周り、最終的には10人の方々が参加してくださいました。


ワンポイント学習を実施
「これが大事なんだよ・・」
冊子の内容
 しばらく交流を行った跡に、HUGハウスの紹介とワンポイント学習を実施しました。「心のケア」は、自分が自分の人生の主人公になって生きるための助けであること。そのケアは、薬を使わない、人として大事にされる経験(愛される)を通して行うこと。そして、住人同士で互いに相手を尊重し話をしっかりと大事に聞ける関係になれること、何より守秘義務を守り噂話を避ける事・・・を冊子を使いながらの説明。皆さん、真剣に聞き入っていましたが、参加したある女性、Yさんは「この、薬を使わないで、愛によるいやし・・・、これが、まことにそうなんだよ。本当に、まことにそうなんだよ」と感想を述べてくださっていました。また、ある方々は、「人の噂話をしない・・・そう、これが一番大事・・・でも、これができないんだよ、これが難しいんだよ」との感想もありました。

全員で記念に

「津波によって何もかも流されうつ病になってしまった・・・でも、こうしてたくさんの人に助けられて、今は前の状態にちょっとづつ戻り始めている。話を聞いてもらえることが大切・・・、もう人生あと少ししかないけど、この助けられた命を大事にしたい」とも話してくださったYさん。きっとこれからの人生、「自分らしく自分の人生を主人公として生きる」時間が生まれることと、信じています。
 今日の出会いで、近況を知りえた方、再開を果たせた方もおられました、今後も、関わりを続けていけたらと思います。

今日から、スタッフの心身のリフレシュと癒しのためにOさんが来所してくださいました。今日からの3日間、よろしくお願いいたします。
(記:宇根)



2012年11月26日月曜日

南方での出会いを求めて

お地蔵さんを通して繋がれれば
今日は、地元スタフのるみちゃん、えみちちゃん、ようちゃんの3人だけでの活動でした。下記に、るみちゃんの報告を記載します。

 
『私たちは主に、南方方面の個別訪問をしながらニーズを調査もして来ました。

他にもえみちゃん、ようちゃんの
出会ったYさん

その訪問で、Aさんと言う70代後半の女性とお会いしました。Aさんは息子さんと二人暮らしで、震災後に足が弱くなり今は、ほとんど1日中家の中で過ごす事が多くなったようです。ある仮設に入ったAさんは、住民の方々と上手に付き合う為に、お付き合いで住民の方が作ったお地蔵さんを買ったりと、回りに気を遣いながら生活をしてるようでした。マンモス仮設での生活では住人の方々のお付き合いもいろいろと皆さんの顔色をうががったり神経をあるんだと、また気を遣いながらの生活なので大変だと思いました。
 
 帰りにSさんと言うみなし仮設の方のお宅に寄りましたが残念ながら留守のようでした (るみちゃん)』
 
 

 地元スタッフだけでの活動とニーズ調査、ご苦労様でした。
南方には、まだまだ多くの出会いが必要とされている方々がおられるかもしれません・・・時間、機会を見つけながらも関わりが広がっていけたらと願います。

 



2012年11月25日日曜日

川崎「カトリック溝ノ口教会」での報告会と研修

企画した後藤さんからの紹介
今日は、「痛む命によりそう」というテーマで、HUGハウスの活動報告と、ミニ研修が川崎にあるカトリック溝ノ口教会で行われ講師として堤が参加しました(宇根も同行)。


報告会風景

 今回、この報告会と研修会を企画したのは、以前come&see研修で、今年の6月にHUGハウスを訪れた事がある、同教会員の三角さんと後藤さんでした。お二人は、HUGハウスの活動と頂いた出会いの貴さを多くの方々に知ってもらいたいと、チラシを作成しては教会の方々に報告したり、チャリティーコンサートやバザーを開いては収益を寄付してくださる等、とても積極的に動いてくださっていました。そして、今回、是非直接報告して欲しいとの願いで実現したのでした。

「痛む命に寄り添う」学びも・・
アイコンタクトの学び
研修会風景
報告と研修という形で行われた今回のプログラムは、日曜日のミサ後、約2時間。参加者は、他の教会からも参加があり35人になりました。
終了後、昼食を囲んでの分かち合い
 後藤さんや三角さんの日頃の報告もあったのでしょう。参加者は、とても積極的で質疑応答にも時間が足りないほど・・、意識の高さを感じました。心のケアには時間がかかること、そのためにも一緒に学びを続けている地元スタッフの養成の必要性が大事だという事を理解して下さたっと思います。
 そして、「私たちでも行けるなら行ってみたい」「忘れないよにしたい」「今度は、私たちのところに話に来て欲しいから、頼んでみます」などの感想をいただけたのが、とても嬉しかったです。

被災地の様子に皆真剣に・・
後藤さん、三角さん、本当にありがとうございました。そして、これからも、宜しくお願いいたします。溝の口教会の皆さん、ありがとうございました。
(記:宇根)

2012年11月22日木曜日

今後のカフェのあり方を考え・・

冬用タイヤへの交換
 秋が足早に去っていき、南三陸町は早くも冬です。昨晩から早朝にかけて気温は0度のところも・・・HUGハウス三滝堂は氷点下になったのでは?というくらいの冷え込みでした。早速、タイヤを冬用タイヤへ交換も行い、これから長い冬の活動へとシフトしていく事になります・・・寒いです。

 
 

カフェ調整をするすみちゃん
今日は地元スタッフのすみちゃんとカフェ調整、カフェ案内を行いました。カフェ案内に出かけましたが、案内だけではなくそこでの出会いもあります。しかし、案内をしながらも出会った方々の心に触れしっかりと話を聴ける時もあれば、そうでなく逃げ出したくなる時や話題をそらしたり関係ない事でごまかしたりする時も・・・。そんな時には、ごまかそうとした自分に正直になりながら、なぜそうなってしまったかをちゃんと意識してみることなのでしょう。すみちゃんと、自分がとった行動を考えながら、意識する時間を作ってみました、本当に自分に正直になりながら成長していくと実感しました。


これまでのカフェ案内
12月のカフェの予定・・

午後は、来月のカフェ調整のための話し合いを行いました。
 現在、カフェに定期的に行っていますが、心のケアのためのカフェの課題も多く見えてきています。今後、どのような形をすることが相応しいのか??? 今の形の継続が必要と思われるところ、新しく工夫をしたほうがいいところ、などなど考える課題は沢山です。
 そのような中、来月からカフェだけではなく訪問を中心にした「HUGハウス心香の訪問」の日や学びを中心にした「ケアカフェ心香」の日、を織り交ぜたものができないか、検討してみることになりました。また報告したいと思います。


来所したオークのメンバー
また、今日から大学生のボランティアグループの「オーク」さんが、訪ねてきました。あすの志津川中学校でのイベントの支援のためでもあります、オークの皆さん、よろしくお願いいたします。
ホープシーズのお二人も早朝からベンチ作り、今日も続いていました、寒い中ご苦労様でした。
(記:宇根)


2012年11月21日水曜日

学びの場としてのカフェ

 
今日は、戸倉地区にある波伝谷仮設住宅でのカフェを開催しました。前回は十数名の参加がありましたが、今日は牡蠣むきの仕事に多くの方々が出かけておられ、参加者は少なく6人でした。

 
 
 高台にある仮設は、風が強く寒い日でした。集まってきた皆さんは、集会室に備え付けられた炬燵を囲みスタッフも皆炬燵に入らせていただきながらのカフェ・・・。今回もワンポイント学習とカフェの内容でした。
 ワンポイント学習では、自分らしさを生きるため、そのためにお互いに話を聴き合える関係を生きることが助けになること、そしてそのために大事になるのが守秘義務や他人の噂話をしないという事を皆で確認しあいました。参加した住人の皆さんは、真剣に冊子を見ながらワンポイント学習を聴いておられました。その姿を見ながらも、学びを重ねていく事が、本当に大切のような気がしました。守秘義務の大切さや噂話しで相手の事を取りだたさない・・・この学びの経験がこの地で生きるために役立ってほしいと願います。

 カフェは、初めは一人の方の話に話題が集中していましたが、何とかスタッフが中に入る事で、一人一人が話が出来るように変えて場の雰囲気を変えるように努めてみました。
 「こういう、話し合いの場があるのは、一緒にいる者同士では必要だよね」と感想がもらえましたが、震災で流された家族への思いを語るには個別で、ゆっくり向き合える時間を設ける必要を感じた方も居られ、時間を改めて個別で訪問する約束を交わしてきました。
最後には、ローソクを囲み黙とうの時間で、大切な方を思い出し、その冥福を祈る時間にあてました。流されて未だ見つかっていない家族や友人の大切な思い出や感情を味わえる時間になったのではないでしょうか。
また、午後からは、カフェ案内を行いながら、個別に訪問を行いました。ある仮設で出会った男性は、同じ住人の方々が、花を見て少しでも癒されるようにと自前で花壇作りをしているところを出会いました・・・皆を想う気持ちに嬉しくなった出会いでした。

昨日より、ホープシーズのテラさんと、友人のタカさんが来所。今回もベンチプロジェクトの続きで、沢山のベンチを持ってきてくださり設置を予定しています。お楽しみに。
(記:宇根)





 

2012年11月20日火曜日

命のリレー、そして人の優しさのリレー





Sさんの家が流された場所・
今日の活動は、午前午後とも個別の訪問でした。歌津地区の仮設、戸倉地区のみなし住宅、そして隣町の横山訪問に別れて行ってきました。個別の訪問だと、一人一人の話に時間を取って向き合う事が出来るのを嬉しく思います。今日の出会いの一コマを紹介します。




夫の仏壇の前で遊ぶお孫さん
Sさんは、震災の前に病気で旅立ったご主人の話しをしてくださいました。抗がん剤の治療後に、もう治る見込みがないのを悟ったご主人が、生まれたばかりの孫を見て、『俺の生まれ変わりだな・・・』とポツリと話してくれたそうです。その後、ご主人は急変し旅立ちました。Sさんは、「一生懸命、毎日駅から電車で通って介護したよ・・・十分できるほどの事はしたと思っている、だから満足なんだよ」と話しながらも、急に旅立ってしまい「さよなら」を言えなかった事は寂しいと涙流して 
夫の介護に向かうために使った駅の跡地・・

いました。『さよならが言えない別れ・・・』を体験したSさん、思いはあいまいで複雑なようです・・、でも、目の前の孫が、夫の生まれ変わりのような気がしてきていると言われた顔には嬉しさも感じられました。命のリレーって、こういうことなのでしょうか?



仮説の周りを歩くHさん
Hさんは、日中家族が働きに出る為に一人で時間を過ごしています。何もすることがないからと、仮設の回りを何度も何度も一人で歩いているとの事でした。今日、出会った時には、「朝、3週歩いたよ。今は、午後の分さ・・・こうして歩くだけ。」Hさんは、一緒に歩きながら昔話をしてくださいました。津波でご主人と一緒に流され一人生き残ったHさん、「時々、思い出して来てくれるのは、嬉しいね」と別れ際に話してくださいました・・・Hさん、また一緒に散歩に付き合わせてくださいねとお願いしてきました。Yさんの奥さんは、「一日中、ぼーっとしていると気がおかしくなるから」と愛犬に話しかけ「家族が仕事から帰るのを待っている」そうです。「仮設住宅の中で一人でいる時間の長い」・・・ことを話してくれながら、訪問に心から喜んでくださいました。



Yさんの愛犬
また、戸倉地区のみなし住宅で訪問したEさんは、以前のブログ「独りぼっちからの解放・・」(11/14)で紹介した方です。今日は、Tさんの友人も誘いスタッフと合わせて3人での訪問。日中は一人での過ごすTさんは、3人ものお客にたいそう喜ばれていました。






Tさんの友人とスタッフのえみちゃん
Hさんも、Yさんの奥様も、Tさんも、みんな「ひとりぼっち」の辛さの中に居るようです。一人になる状況は違えども、辛くて寂しくて悲しい・・・そんな気持ちは同じで、ひしひしとその思いが伝わってきます。人の温かみや優しさを持って訪ねる個別の訪問が、命のリレーではないですが、温かみと優しさを伝えてゆくリレーの役割の一つになるjことを心から願います。


訪問したMさんがスタッフの為に
と手作りストラップ


 








2012年11月19日月曜日

丁寧な関わりと質の高い傾聴を保つ大切さ




今日の午前中は、個別訪問をしました。訪問先は志津川中学校の仮設です。スタッフは各々に家族を亡くされた方や一人暮らしの方、体調を崩しておられる方を訪問しました。いつもながらに個別訪問の大切さを実感して帰ってきました。「会ったらすぐHUGでした。」とスタッフが訪問すると個別でなくてもその場で自然に『HUG』が生まれるようです。スタッフにとってはそれもとってもうれしい瞬間です。貴重な出会いに感謝します。



午後は童子下のケアカフェを行いました。今日はビーンズクラブ(農家の女性たちのグループ)の作業がお休みだったため参加者は少なかったですが、こじんまりとした雰囲気の中でワンポイント学習を行い、母子像のカード前に亡くなった方々、まだ見つかっていない方々、病気の方々とその家族のために短い沈黙の祈りを捧げました。終わりはいつものように『HUG』「HUG何て久しぶり!!こんなことする機会なんてないもの。」と大喜び、愛と優しさが一番伝わる魔法の『HUG』一瞬のうちに笑顔がこぼれます。
 
 どこへ行っても共通してよく聴かれることのなかに、『始めの頃は涙が出てこなかったけど最近になってよく泣ける泣いている』という言葉を聴きます。感情の表出やグリーフはこれから始まるのだということを今日ここでも確認させていただきました。日々丁寧なあたたかい関わりと質の高い傾聴を保ち続けていく必要をスタッフ一同心に刻みました。(記:堤)