2012年8月9日木曜日

相応しい同伴者

今日の午前中は『荒砥仮設』でのケアカフェOpenでした。
「心のケアワンポイント」の学習が、なかなかタイミングが合わず、今回初めて行いました。

長年仕事を続けてこられたある方は、震災後の今、ご自分が「仕事をしていないことが、最大の敗者です」とご自分を表現されました。「もう少し自分が若ければ・・」これらの言葉に、どんな応答ができるでしょう・・。他者からの、どんな励ましの言葉も、説得も、この方には届かないと思います。唯一、ご自身の内面からの気付きや、魂から届く声だけが、この方自身を強めます。その気付きを得られるまで、『希望』を失うことなく、ともに歩むことが、私たちにできる唯一のことです。相応しい同伴者となるためには、自分を磨く作業は欠かすことが出来ないのです。

地元スタッフのすみちゃんの住まいがある仮設でもあり、顔なじみの方がスタッフとしていらっしゃることは、住民の皆様にとって、安心感がましているようでした。

午後からは『港・伊里前小学校・志津川高校』へのカフェのご案内と自然の家『SKC』への訪問、個別ケアでの訪問を行いました。

カフェのご案内時での出会いも、とても貴重なものです。先日のゲリラ豪雨時に落雷で、人が亡くなられたと知らされました。すみちゃんの適切な判断(8月6日のブログでも紹介)で、引き返した日の出来事です。
「あんな津波があっても生かされたのに、命のことは解らない・・」と、部落は違っていても互いを気にかけあう姿は、協力し合いながらこの土地で生きてきた、これまでの歴史を感じさせます。亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げます。

丁寧に花束にして
下さっています
SKC訪問では「明日から皆でお盆休み。今日が最後の集まりの日だった」と、いつものことながら絶妙なタイミングだったようです。今日もみよちゃんから『小菊』の花束をお預かりし、SKCメンバーの方々に、お渡しさせていただきました。
田尻畑のみよちゃん』はとても有名なお方で、驚くほど皆さん御存じです。
「こんな風に気にかけてもらうなんて、すっごく嬉しいよね。お盆が近いし、ほんと嬉しい・・」と喜んでおられました。「ここに居る人はね、みんな誰かを亡くしてる人ばかりなんだよ・・」と以前、伝えて下さいました。
亡くなられた方をお迎えするお盆が近づくことで、心にいっそうの悲しみがこみ上げておられるようでした。
そうした時に『人の優しさと思いやり』に触れ、笑顔となられた表情には、深い悲しみを味わった方の特別な優しさが現れていました。

個別訪問では、「余命6っヶ月と宣告された主人と、3年半共に過ごしました。だから悔いはないんです」っと、なり振りかまわずに、必死でご主人の世話をなさった歴史を伝えて下さいました。「でも、今、主人に居てほしい・・。こんな時(震災)に一人は辛すぎる・・」と、この頃は眠れない夜も多いそうです。今日の出会いが、ぐっすりと眠られる夜となりますように・・・。

「がん」を患っておられる方への訪問では、腫れが強かった脚以外にもさまざまな所がむくみだしており、とてもイライラとなさっていました。「私は、今、帰ったほうが良いでしょうか?」と問い、応答は、硬い表情のまま「そうしてくれるか!」と仰られました。伝えて下さったあと、帰宅しましたが、本音を伝えて下さった相手の姿に、『ほんものの出会い』が出来ることへの期待感を味わいました。
活動後のミーティング風景

生活や、人生が一変する出来事の体験では、人の心の負担が、時間の経過と共にますます深刻になっていきます。
お一人お一人の心の叫びやニーズは違っています。しかし、どの方が発せられる言葉も「固有で、大切なもの」ばかりです。
心のケアは、とても地味なコツコツとした働きですが、この働きを担う人が必要なのです。

最後に、大活躍の『少年ボランティア』さんの働きは、まさに、「ともに生きる」の実践でした。
2才半で体験した震災は、その子の記憶にしっかりと刻まれています。地震が起こるたびにおびえている子どもにとって、安心できる環境が必要なことはもちろんですが、子どもは遊ぶことで出来事を消化していきます。そんなことを知ってか、知らずしてか、小学校6年生の『りょうたろう』君は、相手の気が済むまで遊びに付き合ってくださっていました。ありがとう!りょうたろう君。あなたは偉大な存在です!

(記:マドフォ)

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