2013年3月29日金曜日

新しい門出を迎える子供達

  春休みに入った子供たちが、仮設住宅内で遊ぶ姿が目立ってきました。休み以外の平日の仮設住宅はとても静かで人気がないように感じるだけに、「子供たちの声が聞こえてくるだけでも安心感に繋がる」と話していた方の思いが伝わってくるようです。

 春休みは子供たちの卒業の季節。
今日も訪れた仮設住宅で、卒業後に南三陸町を離れて進学する学生に出会いました。新しい門出に不安と期待に胸を弾ませて話す姿に心よりエールを送りたくなりました。進学先での自炊を送る事になっているその子は、「自炊は出来るよ、だっておばあちゃんから、教わっていたから」と。そのおばあちゃんは、津波で流されているので、教わった事を片身のように大事に生かしていくのだろうな・・と思いました。新しい門出を迎え、津波で受けた悲しい経験や辛い経験を抱く心も、共に新たな癒やしのステージへと進む事を願いたいものです。

 
 今日の活動は、個別訪問と仮設住宅へのニーズ調査でした。
個別訪問では、入谷地区の仮設住宅や近隣の在宅を訪問してきました。仮設住宅訪問では、震災で家が流された悔しい想いを分かち合ってくださる方が居られました。先祖代々受け継いで来た土地を守りながらも、その地で育った樹木を利用して建てた家。とても愛着のある家だったようです、「全部、流されてしまって・・何とも悔しいことか」とこぼす言葉には、重みがありました。もう80歳を超えたその方は、「もう後は死ねる場所があればいいさ」と話していましたが、本当は自分の家の畳の上でその時を迎えたい、という気持ちの裏腹なんだろう、そう思いました。


 仮設住宅のニーズ調査は歌津方面へ出かけていきました。

 現在、ケアカフェ心香の開催や個別訪問に出かけている仮設住宅は町全体の仮設住宅の中の一部です。地域によっては、訪れたことのない仮設住宅も未だあります。
 今日、訪れた仮設住宅の中には最近集会室が出来上がり、これから利用が始まるという場所も少なくないようです。ある仮設住宅では、5月になったら是非カフェを開催して欲しいという希望も受けて帰ってくる事ができました。

 調査に回った地元スタッフは、もっともっと多くの方々が出会いや心の支援を必要としているでは・・という思いを味わっているようです。この思い、どんどん広がっていけるようになるといいなと思います。(記:宇根)


2013年3月28日木曜日

寂しさの中でも生きる

  今日は、フノリや岩のり等を捕る日(開港)でした。訪問した先の仮設住宅では捕ってきた海苔などを裏窓に干すなどの珍しい光景に出会いました。「こんな風景は見たことないだろうから、写真を是非撮って皆さんに見せてあげな」と言われました。お母さんの顔が輝いて見えました、やる仕事があることで人は生き生きするのですね。お土産まで頂きました・・・、ありがとうございました。


 今日は一日、個別訪問や4月のカフェ調整を行っていました。

 志津川地区の、ある仮設住宅にお住まいの方を訪問すると、「仮設住宅に居ると、何も音がしない・・、こんなに林が近いので、カラスの一羽でも雀でもいいから鳴き声が聞こえてきてもいいのに、何も聞こえないの」と話してくださいました。その方は、何処にも出歩けないので室内で裁縫をしていますが、何の音もしない中、自分独りミシンを動かしている事にハッとして、何をしているんだろう自分は???と考えてしまうそうです。誰かの声を聞いていないと変になるからと、テレビをつけているとも・・・。

 訪ねてきてくれる事、話を聞いてもらえる事にとても安心したと感想を話される姿に心痛くなります。帰る前に、部屋に飾っていた小さな小鳥の人形を見せてくれました。電池式動くのですが、何と話す人の声をオウム返しに返すとても賢い人形です。話すままにオウム返しに帰ってくる声に一緒に笑いながらも、この人形でも心の支えになる位の生活の厳しさを実感させられたように感じました。


 午後には、別の地域で暮らすみなし仮設住宅にスタッフは訪問しました。この家に住む方は、孫の家族と一緒に暮らしていますが、隣の地域から離れているために、とても寂しいと話す方です。今日、訪問すると孫のためにと実家から犬を連れてきていました。孫の春休みの間だけ、犬を借りてきたそうです・・・、孫が寂しくならないようにと・・。嬉しそうに、犬を紹介してくれるお孫さんの姿が、とても嬉しそうでした。

 今、被災地で聴く声に、「寂しい」が多いと感じます。(記:宇根)


2013年3月27日水曜日

地元スタッフの一歩一歩の歩み

日頃の活動の中でも、カフェ活動をどのように行っていけるのか、どのようなニーズがあるのか、次回のカフェをどう実施していけるのか・・・考えていかないといけない事が多くあります。

 このようなカフェの調整も、地元スッフが中心になり話し合いながら決めていくスタイルが生まれつつあります。地元スタッフから「カフェ調整やりましょう」と声かけて来るまでになってきています、頼もしく思います。
 今日も、来年度や来月のカフェの開催についてスタッフと話し合う時間を持ちました(写真左)。自分たちで考え、判断し、決めていく。こうした地道な取り組みが、地元の活動に根付いていくのではないかと考えますし、私たちが大事にしたい目指すところの一つだと考えています。
 また、午前中には、ある地元スタッフは役場に相談にも出かけました(写真右)。地元住民として日頃活動を通して感じている想いを伝えながら、行政との連携の模索についても話が出来たようです。まだまだ具体的な活動の形は見えてきませんが、既に役場に足を運ぶのは4回目。一歩一歩ではありますが、自分たちの活動・自分たちが出来る心の支援への動きに進んで歩んでいるように感じます。
 
 
  今日のカフェ活動は、戸倉地区にある波伝谷仮設住宅で行いました。畑仕事をしていた方々が手を休めて、「わざわざ来てくれているんだから・・・」とカフェに参加される姿もあり、私たちがもてなされているのかもしれない、と感じてしまいました。
 参加されたある方が、「本当に神経をやられてしまう・・・、これまでは他に何もできないほど、働くばかりだった。でも、震災以降、急に何もしなくなったし、出来なくなった」と分かち合ってくださいました。今の仮設住宅で生きる人たちの現状の一つを物語っていると思います。
 一方、仮設住宅の近くで食堂を開いていた方が再建を目指して建てているお店を見せてくださいました(写真右)。元々あった場所の側に再建するようです。明るく、素敵なお店になりそうだと感じました。不安はあるけど、何とか初めてみよう!という決意を感じました。開店したら是非立ち寄ってみたいと思います。


 夕方は、名古屋で共にスピリチュアルケアの学びをしていた小久保さん家族が訪問してくださいました。(写真左)

 被災地を忘れず、今も今後も自分たちがどのように関わって行けるかを真剣に考えている姿に力づけられました。小久保さん、またHUGハウスを訪ねてきてください。(記:宇根)

2013年3月26日火曜日

亡くなっても変わらない夫婦愛とグリーフの歩み

今日は、昨日に続き、朝から気温が低く、パラパラと雪が舞う寒い一日でした。

 宇根は釜石での個別対応の日。これまで出会った方々を訪問しました。中でも、釜石のみなし仮設住宅(写真左)に暮らす方には避難所からの出会いです。足が悪く部屋の中を這って移動しないといけないような様子でしたが、その方の今の力は、孫と子供達だそうです。孫のためなら、そして子供のためなら我慢もいとわない程の気持ちがあると教えてもらえました。


 地元スタッフは、一日かけて町外の南方方面に出かけ、個別訪問をしました。主に仮設及びみなし仮設に住む方々を訪問しました。たびたび訪問しても会えなかった方にも出会う事ができ、それぞれのグリーフの歩みを聴かせていただき、あたたかい心になって帰ってきました。

 その一つを紹介します。震災で流されながらも助かった家族。
その中で震災後、間もなく大切な方を亡くされた家族。「毎日10時と3時に、こうして夫と一緒にカフェをするの」と話されたその方は、毎日10時と3時に、仏壇にお菓子や果物などをお供えしたり、お花を飾ったりしながら、お茶の時間をともにしているのだそうです。この日スタッフも3時のお茶をご一緒させて頂きました。

 スタッフは、亡くなっても変わらない素敵な夫婦愛とその方らしいグリーフの歩みに触れさせて頂き、あたたかい気持ちになったようです。今日の出会いに感謝。(記:堤)

2013年3月25日月曜日

心の避難所を持つ


  次第に暖かくなるのかと思いきや、急に冷え出すような天気の変わりように体調を維持するのも大変なこの頃です。仮設住宅の中に作られた花壇(写真左)にも、春の到来を告げる気配は少ないですが、小さく水仙の芽が出てきていました・・・。


 先日、come&see研修に参加しながら、被災地を題材に小説を書くための取材をして帰られたTさんの、作品が出来がりました(写真右)。地元スタッフも、南三陸町の方言監修に携わってきただけに、一緒に作り上げた思いもあるかもしれません。多くの方々が愛読されることを願います。


 今日は、志津川地区の仮設住宅でのケアカフェ心香を開催しました。小さな、仮設住宅ではありますが、自治会長さんはカフェのために、わざわざ部屋を温めお湯を沸かし掃除までして待っていて下さいます。普通のお茶会ではなく、心の支援のために来ている事を、会長さんはじめ利用者の方々も理解されているため、カフェの雰囲気もゆっくり話が出来るような感じです。
 
 参加者のお一人が、「HUGハウスは、私にとっては、心の避難所です」と話してくださいました。心の中にある深いところの話が出来る事に、安心感を覚えているように見えました。その方は、近くの高台にある場所でひとりで過ごす時間が、とても心地よいと話してくださいました。自分自身としっかりと向き合いながらも、以前の自分から少しづつ、少しづつ変わっていく様子を見せていただけたようでした。
 自分の心の避難所を持つ・・・、大事な事だと感じます。HUGハウスとしても、避難所としての役割を大事に保っていきたいものです。(記:宇根)



2013年3月22日金曜日

大事な人である事を訪問によって伝える

  今日の午前中は隣町の公営住宅のみなし仮設住宅でのケアカフェ開催と施設訪問を行いました。

 カフェに行った住宅内に車を駐車していると、住人の方のあるかたから、「車が来ているので、ホッとする」と感想をいただきました。車が、支援に来てくれている、という証の一つになっているのでしょう。心が安心する拠り所が欲しくなる気持ちは、此処がみなし仮設住宅で他には支援が来ない、という寂しさの裏返しに聞こえてきます。
 カフェは、既に自主的な集いに変わってきており、私たちHUGハウスのメンバーが行かなくても開催は可能のようには見えます。それでも、私たちメンバーが訪ねていく、という事で住人に大事にされている感じを持ててもらえるのでしたら、参加して一緒に集う事にも意味がありそうです。今後も、継続して関わりを続けていきたいです。


 別のスタッフが午前中に訪問した施設では、Hさんが待っていてくれました。わざわざ来てくれる事が嬉しかったのか、握った手をなかなか離せない程でした。別れには涙する場面に、地元スタッフも気持ちが辛かったようです。今度は桜が咲く頃に再開を約束してきました。一緒に桜を見られたらいいですね、Hさん。

 
 午後の活動は、隣町の登米市内に自宅を再建した方への訪問。登米市内のみなし仮設住宅と仮設住宅への訪問を行いました。

 自宅再建した方は、震災時の想いを怒りと共に話してくださいました。多くの怒りが詰まった想いを吐き出した後に、津波の犠牲になった家族への想いを分かち合う姿を拝見していると、怒りにも大事に向き合ってこそ、その下にも潜む感情にも出会えるんだと再認識させられた次第です。「2年目を迎えたからこそ、これからはもと悲しくなるかも・・・」と話してくださる心には、未だまだ癒えていかない悲しみが存在するようです。どうか、これからの歩みが悲しみだけではない思いにも溢れたものになりますようにと願いたいです。(記:宇根)



2013年3月21日木曜日

春の匂いを感じつつ

「HUGハウス&ケアカフェ心香」からお知らせです。ブログのページが新しくなりました。これからもよろしくお願いいたします。ただいま準備中です。以前のブログは見ることができません。しばらくお待ちください。(記:堤)


 今日の活動は、個別訪問の一日でした。

 町外の仮設住宅、横山1~3期と若者体育館の仮設を中心に訪問し、家族をなくされた方、病気の方、一人暮らしの方など、大切な出会いをいただきました。地元スタッフも痛みを共有して戻ってきました。痛みを共有しながらも共に成長し希望の歩みをしていけることを願います。

 また、今日は珍しい布海苔を仮設住宅で干している光景に出会いました(写真上右)、次第に近づく春を匂わせるものです・・・、春が来ます。

 今日の出会いに感謝。(記:堤)

2013年3月19日火曜日

家族間で味わう孤独に苦しむ

  家族や周囲の方々から離れてしまう、或いは周辺の住人が別の場所に移動してしまい、一人ぼっちを感じている・・・という思いを多く聞きます。昨日のブログでも「孤独の辛さ」を紹介しました。

 ところが、孤独には周りに人や関係があっても、その人たちからのけ者にされていたり、必要ない人のように扱われたり、うまく利用されているだけであったり、居ないかのように扱われたり・・・とされることで、一人ぼっちを感じてしまう孤独があります。

 今日、仮設住宅で出会った高齢の男性の訴えは、まさに家族と暮らしているのも関わらず感じる「孤独感」でした。自分の事を正しく評価しない家族、自分の事を大事にしてくれない家族、自分の事をただただ利用しているようにしか感じない家族・・・、男性にとって一緒に暮らしている家族は、家族と言えるような存在ではないようです。周りから人が居なくなる孤独感とは違い、その辛さはひとしお なのかもしれません。
 最近は、こういうケースで家族関係で苦しんでいる高齢の方々の叫びをよく聞きます。被災経験とは違いますが、家族関係の課題からくる命の叫び、痛む命の叫びだと感じます。個人のケアだけではなく、家族ケアの必要性を痛感しますが、家族単位での出会いの難しさが困難さに拍車をかけていると思います。私たちが耳にするこの叫びが、氷山の一角でないことを願いつつ関われる関係の中で出来る事を探していきたいものです。

 今日は、活動の合間を見て、「通信」の発送作業をスタッフで手分けして行いました(写真左) 今年度の最後の通信です。多くの方々に支えられて活動を続けてこれた事を改めて感謝です、多くの方々の元へ届くこの通信を通して、被災地の現状や活動の状況が伝わっていけることを願います。


 今日の活動は、午前中は志津川周辺の仮設住宅2つを手分けして、個別訪問を行いました。上記の男性の出会いも、今日の訪問先での出会いです。
 他にも「心のケアは笑うこと、笑って明るくなることが心のケア」と話される方との出会いは、地元スタッフに疑問を投げかけてきました。「心のケアは、笑うだけ??」と・・・。

 情緒的な領域だけではない、心や魂の領域でも生きている私たち人間にとって、その部分で痛み叫びを発する時には、心、魂の領域でのケアが必要であることが、広く知れ渡って行かないといけないのだろう、と痛感します。
 明日は、彼岸の中日、多くの方々が墓参り等があるようです、また震災を思い出す日が来ます・・・。(記:宇根)
 

2013年3月18日月曜日

孤独の苦しみに触れる

  「この圧力鍋を私にくれた、友人の夫婦が津波で亡くなてしまったのが、なにより一番辛いこと」と話してくれたAさん。その圧力鍋で煮た豆(写真左)を見せてくれながら話してくれました。

 大切な友人との突然の別れによって頼れる人を失ったAさんが住んでいる場所は津波で残された地域で、孤立したような場所です。今日の午後に、自宅を訪問しました。
 周辺に住んでいた地域の人たちは別の場所に移り住んだり引っ越したりと、すっかり周りから人が居なくなってしまったようです。それだけでなく、親交を深めていた友人からも冷たい仕打ちに、心痛めていたようです。

 Aさんは、「誰も、私に会いに来てくれる人もいないし・・・本当に寂しい。毎日の日課は、近くまで歩いて行って見下ろす先にあるバス停。今日は何人がバスに乗るんだろうと、数えるだけ・・・」と話してくれました。何処に向かうのだろう、どこから来たのだろう、そういう想像を働かせながらも一人時間を過ごすAさんの孤独が伝わってくるようです。
 人は一人ぼっちでは生きていけない、本当にそう思います。出来上がった煮豆を誰に配るわけでもないのに、また作りたくなると話していました。きっと誰かに食べて欲しいと待っているのでしょう。自分の存在が必要とされている実感をAさんと持てたらいいのに・・・。

 
 今日は、入谷地区にある仮設住宅を訪問いたしました。集会室(写真左)には朝の体操に参加された住人の方々がお茶会をされていました。その輪の中に加えさせてもらい一緒にお茶を飲みながら、亡くなった家族の思い出や震災の経験談を皆が分かち合ってくださったのは有難かったでした。その中のある方は、3年前に亡くなった家族の写真を見ながら、今も泣いていると別れを受け入れることの難しさを語っておられました。大事な大事な家族だったのに・・・、そう言いつつ、今も未だ別れの傷が疼いているのを教えてもらいました。

 別のスタッフは隣にある福祉仮設住宅に訪問(写真下右)、初めはどなたも部屋から出ていませんでしたが、職員から「話を聴いてくれる人が来ているよ」と誘いを受けて3人が出てきてくれました。ある方は、「何を聴いてもらおうかな?」と言いつつ、「私のお母さんの事を聴いてくれる?」と話し出されました。
 これまで、そのように自分の想いを話したことない方が、今日は聴いて欲しい母親の思い出を語りだされたのを見て、出会いの不思議さを感じました。お母さんに伝えたくとも伝えられなかった事をを思い出されたようですが、今でもお母さんと対話できたらいいなあーと思いました(記:宇根)



2013年3月15日金曜日

ストレスから学ぶースタッフ研修ー

  今日のカフェは、小森の仮設住宅で行いました。
 スタッフは、カフェに参加する人、小森の仮設住宅付近の在宅を訪問する人、他の地域を訪問する人に別れて活動を行いました。仮設住宅にボランティアで来ていた長さんも久しぶりにカフェに参加してくださいました。

カフェに参加者された方々には、それぞれスタッフが別れて向き合って話しが聴けるように配慮しました。参加者のある方は、「一杯、話を聴いてもらえた」と感想を話してくれる方と、「私は、いろいろ苦労はあったけど、今は誰にも話してくないし、話さないようにしているの」と話される方がありました。カフェが、想いを話せる時期の人と、話せない人が一緒に時間を過ごせる空間・時間を持てるようにするには難しさがありますが、今は話せなくても話したくなった時に、心許せる相手が居ること、話しても安心できる機会があることが伝われたらと思います。
 今日、未だ話したくないと感想を述べてくださった方にも、今後は個別の訪問などを通して出会いの機会を模索していきたいものです。

 別れて他の仮設住宅を訪問したスタッフが出会ったのは、父親を津波で亡くした学生とその家族でした。今度、父親の3年忌を済ませ、それを一つの区切りとして進学のためにこの被災地を離れるそうです。家族が部活で頑張っていた姿が写っていた新聞の記事(写真左)を大事そうに見せてくれました。この地を離れ進学するのは、将来自分を育ててくれた家族に恩返しをするためだと話していました。いい笑顔だね・・・、帰ってきたスタッフと共に、悲しみを抱えながらも懸命に生きる姿に秘められた力は、何だろう?と分かち合っていました。


 今日の午後には、毎月の定例のスタッフ研修会を田尻畑HUGハウスで行いました。ボランティアで合流していた あきえさんも一緒に参加して行いました。
 今回のテーマは、「ストレス」でした。今を生きている上で、ストレスはかかります。そのストレスがかかっている自分に気がつく事、自分のストレスは、どのようなストレスかを知ること。そして、そのバランスを考えてみる事等を確認し合いました。
 ストレスを抱えつつも上手にそのバランスや意識を持つことで楽に日々を過ごせる事が分かったり、過去の自分のストレスに苦しんでいた頃からの成長を確認できたのは良かったと思いました。

 最後には、何時も行っている、「出会いの記録」からの学びを今日も行いました。出会いを仲間同士で意見交換したり意見を出し合ったりするには勇気や正直さ謙虚さが必要です。未だまだ経験を積んでいく必要はあるものの、互の成長を信じ合える仲間になっていきたいものだと感じました。
地元スタッフの皆さん、ありがとうございました。(記:宇根)

2013年3月14日木曜日

心の扉を開けない辛さ

南三陸町の住人の主体的な活動に移行していく事を大切な目標の一つとして位置づけていますが、地元スタッフが増えていく事がその一つだと思っています。
 この度、地元スタッフに新たなメンバーが加わりました。これまでは心の支援やケアを一緒に行うスタッフばかりでしたが、今後の組織作りのためにも事務等を一緒に行える人材は必要不可欠です。そういう中、先週より、Jさんが手伝いに来てくれています(写真左)。事務の仕事は、いろいろ多いだけに自分のペースを取り戻しながら少しづつ覚えて行ってもらえたらと希望しています。
 

 今日は、志津川地区の仮設住宅でのカフェと個別訪問を午前中に行いました。20戸程の小さな仮設住宅で日中の在宅者は少ないですが、一人一人との出会いを大切にしながら活動を大事にしたいと思っている所です。今日参加された、自治会長さんは「大きな仮設住宅には、沢山の支援はあるけど、こういう小さな仮設住宅に来る人たちは少ないんだよ・・・」と話しておられました。仮設住宅によって生じる支援の偏りは支援する側にとって、見直さなければいけない課題だと思います。

 
  午後には、別の仮設住宅の個別訪問を行いました。

「こころなおして、灰なおして・・・こころなおして、灰なおして・・こうして、毎日線香をあげる時に、灰をキレイにするの。そして、今日の一日を無事に過ごせて感謝するのと、明日一日が新しく始まりますように」と毎日、手を合わせていると話してくれた女性が居られました。

 ただ、その方は部屋から出られません。心苦しくなるから扉や窓も締めきれない・・・そんな生活を送っておられます。誰かと話しをする事もままならないために、唯一話が出来て安心するのは、先に旅立ったお母さんのようなのです・・・。今暮らしている周りに、心許せる人が誰も居ない不安は、とても大きいものだろうと想像します。

 心の扉や窓を開けても大丈夫・・・、そういう経験を多く持てるように、そういう関係が一つでも生まれますように、と願いたいものですし、そのために必要でしたら手伝いを続けていきたいと思いました。


 仮設住宅を歩いていると、孫をオンブしたおじいちゃんに出会いました。可愛いお孫さんを寝かせるために、オンブしながらテラスを直している姿がほのぼのしく、つい写真を撮らせてもらいました、ありがとうございました(記:宇根)

震災によって壊されたささやかな暮らし

「こんなんだったら、お父さんと一緒に津波に流されていたら良かったよ・・・楽しいことなんて、何一つないんだから」

 個別に訪問した先で、何度も同じように繰り返すOさん。去年初めてお会いした時にも、同じような話をされていたのを覚えています。

 Oさんの世界は仮設住宅の狭い4畳半の空間・・・、震災後に体の調子が悪くなり、今は部屋から外に出る事もままなりません。暗くなるまで部屋にあるテレビと向き合い、時折部屋の窓から見える裏山に、タヌキや狐が出るのを見ているんだとか・・・。
 QOL(生活の質)からすれば、Oさんの暮らしはこれでいいのだろうか?と考えてしまいます。「今行っている施設も、周りは皆寝てばっかしだし、話も出来ない・・・隣の人なんて、遠くを見たままだよ・・・、面白くないよ」とOさん。これが被災地の高齢者の今の暮らしの現実だろうと感じます。
 震災前は歌も踊りもよくやっていて、老人会ではいろいろな所で歌ったり踊ったりしていたのをおもしろ可笑しく話してくれました・・・。震災はこういうささやかな暮らしを壊したのだろうと思いますし、今の仮設住宅や一時的な仮の暮らし(仮設住宅)は、生きる世界をどんどん狭くしてしまうのだろうと思います。
 Oさん、今は震災前まで覚えて歌っていた歌をベッドに横になったまま歌っているそうです・・・、思い出の歌をベッドの上で歌うだけでなく、本当に思いっきり歌え踊れる日が来ることを願いたいのですが・・・。

 今日は、終日個別訪問の活動でした。集会室で出会える方々も居られましたが、部屋から出てこないので心配だという情報を頂き部屋を訪ねる事もしましたが、仲の良い友達と一緒に散歩するところに出会えて、ホットもしました。


 一方、年度末を迎え、来年度の活動に向けて助成金申請の準備や今年度最後の通信の作成などの事務作業にも必死です。

 じ地道な作業ですが、日ごろ支えてくださる方々への報告とまだまだ必要とされている町の方がたのためにも頑張りどころです。
(記:宇根)