2013年3月18日月曜日

孤独の苦しみに触れる

  「この圧力鍋を私にくれた、友人の夫婦が津波で亡くなてしまったのが、なにより一番辛いこと」と話してくれたAさん。その圧力鍋で煮た豆(写真左)を見せてくれながら話してくれました。

 大切な友人との突然の別れによって頼れる人を失ったAさんが住んでいる場所は津波で残された地域で、孤立したような場所です。今日の午後に、自宅を訪問しました。
 周辺に住んでいた地域の人たちは別の場所に移り住んだり引っ越したりと、すっかり周りから人が居なくなってしまったようです。それだけでなく、親交を深めていた友人からも冷たい仕打ちに、心痛めていたようです。

 Aさんは、「誰も、私に会いに来てくれる人もいないし・・・本当に寂しい。毎日の日課は、近くまで歩いて行って見下ろす先にあるバス停。今日は何人がバスに乗るんだろうと、数えるだけ・・・」と話してくれました。何処に向かうのだろう、どこから来たのだろう、そういう想像を働かせながらも一人時間を過ごすAさんの孤独が伝わってくるようです。
 人は一人ぼっちでは生きていけない、本当にそう思います。出来上がった煮豆を誰に配るわけでもないのに、また作りたくなると話していました。きっと誰かに食べて欲しいと待っているのでしょう。自分の存在が必要とされている実感をAさんと持てたらいいのに・・・。

 
 今日は、入谷地区にある仮設住宅を訪問いたしました。集会室(写真左)には朝の体操に参加された住人の方々がお茶会をされていました。その輪の中に加えさせてもらい一緒にお茶を飲みながら、亡くなった家族の思い出や震災の経験談を皆が分かち合ってくださったのは有難かったでした。その中のある方は、3年前に亡くなった家族の写真を見ながら、今も泣いていると別れを受け入れることの難しさを語っておられました。大事な大事な家族だったのに・・・、そう言いつつ、今も未だ別れの傷が疼いているのを教えてもらいました。

 別のスタッフは隣にある福祉仮設住宅に訪問(写真下右)、初めはどなたも部屋から出ていませんでしたが、職員から「話を聴いてくれる人が来ているよ」と誘いを受けて3人が出てきてくれました。ある方は、「何を聴いてもらおうかな?」と言いつつ、「私のお母さんの事を聴いてくれる?」と話し出されました。
 これまで、そのように自分の想いを話したことない方が、今日は聴いて欲しい母親の思い出を語りだされたのを見て、出会いの不思議さを感じました。お母さんに伝えたくとも伝えられなかった事をを思い出されたようですが、今でもお母さんと対話できたらいいなあーと思いました(記:宇根)



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