2013年7月3日水曜日

解放された経験を伝えたい

最近、外でよく見かける人がいます。
毎日のように、近くを歩いている姿を見かけるだけに、どういう方なのだろう?と気になっていました。

 今日、その方が仮設住宅に居る事が出来ずに、毎日外に出て行っている事を聞きました。この季節だけでなく、寒い冬にも暖かい服を着込んで出て行かれていたそうです。・・・本人から聴いたのではないので正確ではないでしょうが、どうも自分の家があったところに毎日、毎日通っているとの事。家があったところに居ると落ち着くらしいのですが・・・。
 ひと時も仮設住宅には留まれないほど、仮設住宅内に居られない心境・・・、無くなった家の跡地にいるだけでいいからどんなに厳しい日でもそこにい続けようとする心境・・・。この心境になっていく思いを分からないといけないなと感じました。
お茶会で振舞われた漬物


今日は、歌津地区の仮設住宅で開かれている仮設住宅支援委員の主催のお茶会を始めて訪問しました。個別訪問で出会った方との縁でお茶会へ招かれたのでした。

 初めて出会う方々ばかり10人。緊張の中で参加したスタッフはHUGハウスの活動紹介をしっかりと伝えることができました。参加した方がたの注目と興味を惹きつけたのが、地元スタッフが引きこもりに近い状態だった自分が話を聞いてもらっていくうちに解放されていった経験・・・その経験談だったようです。スタッフにとっては、自分が経験していた思いを伝え解って欲しいと一生懸命でした。その一生懸命さ・・・開放された嬉しい経験があるからこそ出てきた力なのでしょう。このような経験からくる思いが他者に伝わっていくのではないでしょうか。


今日の活動は、志津川地区の仮設住宅でのケアカフェ心香の開催でした。
 カフェには7人の方々が集まってこられました。「こうして、話し語りすることは体操するより元気になっていい」と嬉しそうに、過去の思い出を話してくれる方がおられました。また、「孫と一緒に夕食を囲む時間が一番待ち遠しい」と教えてくださった80代の女性は、「おばあちゃん、今日は、どんな話を聞かせてくれるの?」とお孫さんが要求してくる程語りが上手なことに聴いている方も引きずり込まれてしまうほどでした。
飾り物を置くスペースはテーブル

 午後には、在宅への訪問と仮設住宅への訪問を行っていました。津波で流された息子への思いを少しづつ忘れて来れているお母さんと時間を一緒に過ごさせてもらいました。
 息子さんの死を受け入れ始めても、その息子さんを震災の日に連れてきたお嫁さんへの怒りまでは解消されていけない思いを聴かせてもらい、その心の複雑さを痛感しました。(記:宇根)





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