2013年6月14日金曜日

「懐かしい味」で蘇る記憶


今日は午前中、見なし仮設の集会場でカフェを行ないました。住民の方々が自主的にカフェを開催するようになったこちらでは、毎回、たくさんのお料理が振る舞われます。お互いのお料理を盛り付け、ケアカフェ開始です。

毎月二回行われるこちらのカフェは、始まってから約一年が経ちます。地元スタッフは、ある変化に気付きました。それは、カフェ開始当時、突き刺すような眼で、震災後に起こった様々な人間模様に対する「怒り」を語られていた方が、今日は同じ震災の事を柔らかい目と優しい表情で、冗談交じりに語られていたということです。繰り返して語っていくうちに、「怒り」で覆いかぶされていた心を、ご自分なりに腹に納められ始めたのでしょうか。「生傷」から「傷跡」への変化。「痛み」を無理やりコントロールするのではなく、忍耐して付き合いながら、自然に癒えていくプロセスが必要でしょう。小さな「癒し」の時を確認した瞬間でした。


 一方、老人施設にいらっしゃる被災者の方の訪問もさせていただきました。

前回訪問した際、「『がんずき』が食べたい」と言われたのを覚えていたスタッフは、施設の職員さんの了解を得て、「がんずき」を差し入れ。一緒に食べながらひと時を過ごしました。すると、涙を流して喜ばれ、「久しぶりに食べたや~」と良く味わいながら召し上がられました。実はこの方にとって「がんずき」は、昔から食べていた「懐かしの味」なのです。

震災後、認知症を患われるようになり、多くの事を忘れてしまわれるようになりましたが、「懐かしの味」で表情が豊かになり、昔の記憶を取り戻されたようでした。
そして、はっきりとした目と言葉から、確かにここにいる「自分」も取り戻されたようでした。
(記:林)



 また今日は、HUGさんが神戸の愛徳女学院での講演会に講師として招かれました。
対象は中学校1年生から高校3年生まで約300人。先生方、父兄の方々、シスター方も何人か参加されたようです。


 被災地のことを話してほしいと依頼を受け「被災地で愛を生きる~痛むいのち悲しむいのちに寄り添う支援」というテーマで講演をしました。一緒に沈黙とアイコンタクトのワークも行いました。アイコンタクトは生徒も先生もテレや恥ずかしさでなかなかうまく出来なかったようですが、それでも相手のまなざしを通して「やさしさ」や「あたたかさ」を受けとることができたのは良かったです。苦しみの中にある方々と接するときの心構えや緊張感を少しでも体感できたならうれしく思います。
 これからも被災地の支援を続けるということ。「忘れない心」を生き続けてほしいと思います。この機会と出会いに感謝いたします。愛徳学園のみなさんありがとうございました。(記:堤)








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