2013年6月20日木曜日

相手の中にある感情は?先入観なしで聴く

いつも一緒に過ごしてきた幼馴染が、旅立ってしまう事にはどのような気持ちが出てくるのだろう・・

 今日は、ある仮設住宅の個別訪問を行いました。訪問先の一人の方が、先日幼馴染に旅立たれていました。その方の思いを聴かせていただきましたが、幼馴染の友人との別れについては、「悔しい」という言葉で表現されました。

 人の心の内に現れる感じ方には、本当に種々あるのが分かります。友人との別れを悲しいのでは?辛いのでは?と思っていても、本人が一番感じているのは別の感じ方だったのが驚きでした。話をする方の感情は、必ずしもこちらが思ってるものとは同じではない・・・今日ので出会いはそれを教えてくれたように感じます。

 聴く側の先入観と思い込みで話を聴いていくと、話している人が味わっている感じ方と少しづつズレていきかねません。正しくその人の感じ方を捉え、それに寄り添っていけるセンスを養いながら聴く力を身につけていきたいものです。


 訪問した先で、以前の志津川地区の地図を見せてくれた方がおられました。「ここが私の家があったところ」と指差す場所に小さく書かれた名前と区画がありました。地図には、震災以前に住んでいた証がしっかりと残っていました。「ここには○○があって、ここには誰々さんが居て・・・」と話す顔は嬉しそうでした。記憶の中だけではなく、生きてきた証を今度集まる孫たちにも話をするそうですが、記憶だけでなく生きている孫たちの中にも息づいていく記憶になるといいなと思います。


  午後に、訪問した仮設住宅で出会った方は、孫の母親が津波に流された後に泣こうとしない事を教えてくれました。また、孫を心配して声かけると、孫から「自分だけでないんだから」と逆に諭されることもあるそうです。
 悲しいはずがないのに、泣かない事を選んで過ごすその孫さんの思いに、スタッフ一同、居たたまれない気持ちになりました。

 きっとそのお孫さんも泣かないようにしている理由を持っているのだと思います。今のところは、そのお孫さんと出会いはありませんが、深い悲しみの中で反応するこころの一つのあり方を私達の中でちゃんと留めておきたいものだと思います。(記:宇根)


 

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