2013年2月4日月曜日

故郷を思いつつ離れた仮設で暮らす

『うさぎ おいしい かの山・・
    こブナ釣りし かの川・・
       夢は 今も めぐりて 思いいずる 故郷 』
   ・・・この歌を歌うと、悲しくてね、涙が出てくる。歌にあるような、本当に素敵な場所だったよ・・・。みんなと話したり笑ったりしている時には、なんとも思わないけど、一人になるとね、なんだか思い出してしまう・・・、忘れられないね」 志津川地区から離れた隣市の仮設住宅に入居した女性が、泣きながらこぼした言葉でした。
 遠く離れた故郷は津波に流され、尋ねることもままならない・・・。この離れた町に住んではいるものの、故郷を思い出すたびに、湧き上がるものを味わっている様子が伝わってきました。生まれ育った場所が無くなる・・・この寂しさを埋めるものは、何なのでしょう・・・?? 体や心に染み付いた故郷の実感が続きますように、と願いたい時間でした。

 今日は、隣の登米市南方にある仮設住宅の個別訪問を一日かけて行いました。距離があるために午前中から午後にかけて時間をかけて訪ねていけるようにスタッフ全員で別れて訪問しました。午前中は晴れ間もみえ暖かい日差しがあって、縁側や部屋の前で話を聴けるほどでしたが、午後には雪の中での訪問でした。

 この仮設住宅では、現在ケアカフェを実施していませんので訪問と言っても、繋がりを訪ねて行くか地元スタッフの繋がりを広げていくしかありません。
 それでも、仮設内を回ると久しぶりの出会いや親戚関係の住人に出会うなど出会いには恵まれました。
 ある方は、「ここでは、なかなか話が出来ない。話を聴いてくれるような、んたたちのような活動は必要だよ・・」とか「今度は、わたしの家に来てよ」 と話す方もおられ、しっかりと内面を聴ける存在の必要性を確認できたのではないかと思います。

 避難所からの繋がりのある方に偶然出会いましたが、「津波で亡くなった家族は帰ってこないと頭では解っているけど、どこで諦め、どこで区切りにしたらいいのか解らない」と話されていました。個人によっては、まだまだグリーフの真っ只中で、その悲しみを一人で抱いているのを教えてもらいました。

 一人一人違った形でも、別れた大事な家族を思い出しながら過ごす時間を大切に、そして尊重したいものです(記:宇根)


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