2013年2月21日木曜日

この地で培われた信仰心による癒し

「震災の前に、漁に出ている時に見える朝日がとても綺麗だったよ・・思わず手を合わせていたけど、あれが忘れられないなって思う。今でも、手を合わせるよ・・・毎日、朝起きたら、孫のためにでしょ、それから亡くなったお父さんのためにでしょ、そして働いている子供たちのためにでしょ・・・みんなのためにこうして手を合わせるのさ。それから、今度は、寝る前にまた、こうして手を合わせるのさ」

 今日、ケアカフェを行った仮設住宅に住まうSさんは、祈る際の手をきれいに合わせる仕草をしながら(写真左)、祈っている思いを分かち合ってくださいました。漁をしていた頃に沖合の洋上で目の当たりにする朝日に、畏敬の念を抱き手を合わせる姿には、生活の中で培われた自分を超えた存在への「信仰心」が現れているように感じます。
 この南三陸町では、本当にこのような素朴な信仰心に多く出会います。「流された娘が上がってこないなら、海神にでもなって私たちを守ってくれるように手を合わせているのさ」、「毎日、海に向かって手を合わせに散歩に行くのが常さ・・沢山の人が流されているから」・・・という話も先日聴いたくらいです。

 この地に住みながら、心を支え生きる力を生み出してきた一つとして、この信仰心が大きいのではないかと思います。そして、自然の力である地震によって傷ついた心は、この地に継がれてきた自然や自分を超えた存在への畏怖や畏敬・信仰心によっても、少しづつ癒されていくのものでもあるだろうと思います。厳しくもありながら豊かでもある、この自然の中だからこそ身に付いたそれぞれの信仰心が今助けになりますように願います。


 今日の「ケアカフェ心香」は、歌津地区の伊里前小学校仮設住宅で行いました。ほとんどがマンツーマンで話が聴けるくらいの人数でしたので、参加者は思いを聴いてもらえた感は大きかったようです。
 震災の経験によってぞれ以前に抱えていた家族間の問題に直面しては、その感情を「海に向かて吐き出すんだよ・・・」とこぼされる方がいましたが、海に向かうだけでなく家族間で本当に向き合うことが出来るといいなーと思いました。それが出来ない現実が、苦しみを増していく要因なのかもしれません・・・。苦しんでいる当人だけでなく、家族皆も意識の変化が求められているのかもしれません。
 
 課題は大きい・・・。

 午後の個別訪問では2箇所の在宅地域と、4箇所の仮設住宅を個別訪問してきました。震災によって仮設住宅が実家の隣に出来、そこに妹が入居したので姉妹が近くになったと喜ぶお二人の笑顔(写真右)には、心休まりました。一方では、家が残っているがために近くの仮設住宅の方々に遠慮し交流も持てないという現状もあり被災地の苦悩は複雑だと、実感しています。
(記:宇根)

 

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