2013年9月24日火曜日

ここにいる意味


ときどき活動で出会う方から、「あんたたちは何しに来たの?」「あんたはだれ?」と聞かれることがあります。以前のブログで、このような場面に出くわした場合、スタッフがどのように説明するかと話し合ったことを紹介しました。

 今日は特に、地元スタッフ「けいちゃん」にとって、出会った方の質問は考えさせられたようです。
「あんたたちは、『慰安婦』か?」

 そう言われて、歯切れの悪い説明をしてしまったと振り返るスタッフ。

私達は一体何をしているのか?どんな役に立っているのか?
「ここにいる意味」はあるのか。
施設で掲示してある写真を見ているスタッフ

今日の活動では、その質問に答えるかのような出会いがありました。

 

 午前中は、志津川地区の某老人施設を訪問。スタッフ4人がそれぞれに訪問。心に触れる出会いがありました。

 写真が趣味だという男性Nさんは、前回の訪問でスタッフを写真に納め、現像したものをスタッフに渡してくださいました。「そろそろ来る頃かな。」そう思って、スタッフとの再会を待っていらっしゃったようです。お互いの存在を確認でき、認め合うそんな関係になって来ているようです。


今日の海は秋の高潮。
風景は穏やかで、震災の爪痕は
手前に見える平地。
「震災で全部流されたから…」
写真など一切を流されてしまった人を再び写真に納め、本人に渡すことは、Nさんにとって意味あることのようです。出会った方へのせめてものご奉仕、同時に、自分の楽しみ、「ここにいる意味」を見出せる喜びにもなっているようでした。スタッフは、喜んでNさんの撮影された写真をいただきました。

「関わっている方がちょっとづつ元気になっていく様子が見られて嬉しい。」(コメント:すみちゃん)

 


 地元スタッフけいちゃんにとってFさんとの出会いは、また特別です。先ほどの「あんたは何者?」の質問者ですが、さらに質問をかぶせます。
「聴きたくない事、聞かされたらどうするの?」
…じっと伺っていると、それは実はFさんに関わる事でした。つまり、本当は「聴いてほしい」「自分の今の気持ちを表したい」のシグナルでした。心に溜まっている事、不安な気持ちを時間の許す限り話されたFさん。次第にこわばった表情が変わってくるのが分かります。「また聴いてくれる?」そう言って、今日の話を終えられたFさん。

「何のために来ているのかとスタッフとしての私が試されているようだ。」(コメント:けいちゃん)と思いつつ、しかし最後のFさんの言葉に信頼しながら、今日の活動を振り返りました。

 


食器棚に飾られた「手のひら地蔵」
 地元スタッフゆうちゃんの今日の出会いも、とても考えさせられました。今だから話せる様々な人生の話。人生の告白をしながら、過去の自分と和解しようとしているのでしょうか。そして、施設で暮らすことに対し、「みなやさしいし、ご飯も三食ついて良い。」と何度も何度も話されていました。様々な関係や状況から、どうしてもここにいなければならない理由があると分かっていながら、「ここにいる説明を自分にしているように感じた。」(コメント:ゆうちゃん) 自分を納得させながら生きていらっしゃる姿にグッときました。

 

午後からは、個別訪問などに出かけました。
保険の相談に
社協に出かけたスタッフ

個別訪問とはいっても、荒砥でお借りしている事務所の大家さん。

思いを込めて「手のひら地蔵」をお渡ししました。そして、お話を伺っているとだんだん気付いてきた事がありました。それは、以前は大家さんご自身が誰かに話を聞いてほしい様子でしたが、今はどうやら出会う方々の傾聴をされているのです。地元スタッフは、「もしかしたら、HUGハウスの事務所がここにあるということも影響している(=この場所に事務所がある意味がある)のかしら?」とポジティブに受け取ってみましたが、いずれにしろ、互いを大切に聴きあう文化が広がると良いなぁと大きく希望をいだきました。(記:林)
 
 
 
 


0 件のコメント:

コメントを投稿