2013年5月30日木曜日

出会いの難しさと挨拶の工夫の必要性

 日々、仮設住宅や在宅の方々を訪問する中で私たちが一番気を遣うことがあります。それは、自分が何のために何をしているものなのかを紹介・説明することです。

簡単そうに見えるこの挨拶・説明ですが、使う言葉や内容によっては、その後の話の流れが大きく変わって来ます。私たちは、あくまでも痛む命や悲しむ命、心の叫びに触れ、その命に寄り添っていく事を目指していますが、初めの挨拶や自己紹介によっては、そこからずれていくことさえ容易に起きてしまいかねません。それだけに、なるべく的確にそして相手に分かるように声かけや説明の言葉を選ばなければいけないという難しさがあるのです。

 今日も、仮設住宅を訪問した地元スタッフは、初めて出会った方に、「私たちは、心のケアの活動をしているグループです」と自己紹介をしました。ところが、出会った初めての方の反応は、「そう、今の俺はそういうものは必要ないよ、いずれ必要になったらお願いするから・・・」でした。そのスタッフは、他にも同じような内容の紹介をしてきたところ、多くの方が同じような反応を示し、なかなか内面に触れていけない事を感じていたと分かち合いがありました。別のスタッフからも、「心のケア」という言葉を使うと、地域の人は引いてしまうのを感じる・・・、とか「心のケア」と聞くと自分には関係ないと思ってしまうのでは・・・などと感じているという意見もありました。

 心のケアについての偏見をなくしていく必要性はあるけど、心のケアというものをどう分かりやすく伝えられるのか、そこに携わっている自分たちをどう紹介していければ良いのか・・・考えなければいけない。またそれだけでなく、最初の挨拶にしても単なるお天気の話題や世間一般で交わされる挨拶ではない工夫はどうしたら、という事も併せて考える必要があるのでは・・・などスタッフ間で話し合いがなされました。挨拶や自己紹介について、HUGハウスとしてもスタッフ自身としてもいろいろ考え工夫をしていく努力が求められていると学び、感じた一日でした。


 今日の活動は1日、個別訪問でした。

 ある仮設住宅を訪問すると、自宅を仙台に建てた方との出会いがありました。南三陸町内の手続きが終わったら、建てた仙台の家に引っ越すと話してくれていましたが、スタッフには寂しそうに話されるその方の心には、残りたくても残れない思いに寂しさを感じているように伝わってきたそうです。スタッフも、また一人この町を離れていく住人の心に触れて、寂しさを感じてしまいました・・・。

 また、ある方を訪問すると、窓もカーテンも締め切り暗い中でテレビを観ているだけのようでした。訪問して初めて、窓を開けカーテンを開けるという状況に、日常の暮らし方に孤独感が感じられます。唯一、県外に暮らす娘の家に行った際に飼っているチワワに会うのが楽しみと話され、チワワの写真を見せてくれました(写真左)が、閉ざしてしまう程の思いを分かち合い新しく扉を開く時期やチャンスが訪れる事を願いたいものですし、そのような相手になるためには、私たちはどうすれば良いのか考えさせられました。(記:宇根)







 

 

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