2013年1月24日木曜日

幸せに生きる地を求めて

 仮設住宅での生活には様々な課題があり、生きづらさを訴える方々は多いものです。そのような中、今日は「今の仮設住宅が第二の故郷になった」と言える方との出会いがありました。

 訪れたのは、志津川地区の高台に位置する仮設住宅(左)。仮設の裏側の山沿いに、地主さんが提供してくださった畑があります。元々は、藪の繁る荒地でした。そこを、仮設の方々で畑仕事を希望される方に提供して、見事な畑になっていました。その畑の一角には、あるNPOから寄付でビニールハウスが2棟(写真下左)建てられ、野菜のハウス栽培が行われていますが、住人さんたちの憩いの場にもなり、一日お茶飲んだり楽しく話をしたり、中には新聞を広げては寝てしまう人も居るとか・・・。

 その仮設に住まわれているAさん夫婦が、仮設住宅を「第二の故郷」に思えるほどの思いを持っておられました。夫は山が大好きで蔦を探しては山深く入っていかれます。撮れた蔦を畑のそばに立てた小屋で編んでは好きな方に提供されています。籠(写真右)は立派な商品になるほど。一方の妻は、野菜を栽培するのが「楽しくて楽しくて・・・」とは葉っぱが広がってきている姿を見せてくださいました。「この野菜をじっと見ていると嬉しくてね、心を癒しているの」とも話していました。お二人共、本当に嬉しそうに畑仕事が出来る今の仮設住宅での暮らしを紹介するので、こちらまでホットする感じでした。
 「あと、4、5年したら、ここから出て行かないとけない・・・そう思うと涙が出てきてしまう・・・こんな日々を過ごしている今が無くなってしまい、どこか集合住宅に移るとなると涙が出てくる・・・」と涙をこぼしながら話される夫のAさんの思いを聴いていると、幸せに暮らせる地になるには何が必要なのかを教えられるようです。そして、この先何年か後に必ず来るでしょう「移転」「引越し」という状況が、本当に復興になっていけるのだろうかと、考えさせられます。「仮設を出たら、ここで同窓会をしたいね」と話すAさんの妻の願いが叶うような日が来ると信じたいです。

 今日の活動は、一日個別訪問の日でした。午後には、入院された方の面会にも行ってきました。Aさんとは対照的でした・・・。「早く帰りたい、早くここから出たいと願っているのに・・・、この先の見通しが立たないし、自分で考えることさえ出来ない・・・それが辛いの」とこぼされたYさんの、心の叫びは、深く響いてきました。

 今を生きる喜び、今を生きる苦しみ・・・、この被災地で生きる方々に、自分らしく生きる事が、ちゃんと保証されますようにと切に願います。(記:宇根)

 




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