2013年3月1日金曜日

被災地に必要な価値観とは?

 3月に入った南三陸町では、ワカメの収穫が始まっています。
 写真(右)のように津波の被害の跡が、未だに生々しい場所がある傍らで、漁で採れたワカメを加工したりする姿もみる事ができます。今日、出勤してきた地元スタッフが、採れたワカメを使って漬物と佃煮を作ってきてくれました(写真左)・・・美味しいワカメです。ワカメ、アワビ、ホヤ・・・等、ここには本当に海の幸に溢れている場所なんだと感心してしまいます。


 今日、仮設住宅を訪問すると、住人の多くがワカメ漁に出かけてしまい留守が多かったですが、その中でも、高齢の女性がテレビを一人で見ていたり、老夫婦がテレビに向かって座っている姿も見受けられました。こういう時期に家に残っている方々には、何もできなくなってしまった人とか、訳あってワカメ漁の手伝いに呼ばれなかったり行かなかったりしている人だろうと・・・言う地元の人の話を聞きました。理由は様々あるとは思いますが、周りが忙しくなればなるほど、「自分は何もしていない、出来ない」という思いにもかられやすくなるのではと思います。役割や仕事の有無で人の価値は決まらないとは思いたいですが、震災を期にその価値が無くなったように感じる人が増えているのかもしれません・・・。

  今日訪問したひとり暮らしの男性は、「もう20年も一人で生活してきた・・・一人暮らしなんて、つまんないよ。何もいい事ってありゃしない。もうこんなに年取ったら、することもないし出来ることなんて一つも無い。あえて言えば、食べて寝て病院に行く、それが仕事かな・・・後は、お迎えが来るのを待っているだけさ。」と話してくれました。つとめて明るく笑いながら話す、その男性は一生懸命働いていた過去の思い出を嬉しそうに話してくれていましたが、誇れるものは過去の自分・・・と叫んでいたのかもしれません。過去の自分だけではなく、今の自分、そしてこれからの自分にも誇りを持てる事があるといいなー、って思いました。

 どのような価値観が、この何もなくなったと感じる今、支えになるのでしょうか? 
(記:宇根)



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