2013年11月21日木曜日

「諦め・手放す」の次に訪れるもの

今日はある地域の海辺を訪れました。
かつて、娘さんが震災の津波で流されてしまったSさんに出会いました。Sさんは、流された娘さんが未だ見つからない中、「もし、このまま見つからなければ、龍宮城で龍神様になって、この町と私たちを見守って欲しいものさ」と話してくださったSさん。このSさんは、よくこの海辺に来ては手を合わせていたそうです。そのSさんも、2ヶ月前に娘さんの元へと旅立って行きました。今日は、Sさんが手を合わせていた海辺で、海に向かって手を合わさせてもらいました。Sさんの冥福・娘さんの冥福を合せつつ、龍神様になって守ってほしいと願いを捧げてきました。

 Sさんは、娘さんが帰ってくるのを待っていました。待って、待って・・・でも、待っていても叶わないと思えるようになった時。もう自分ではどうしようも出来ないと悟り諦めた後に、Sさんは自分の願いとは全く違う願いに思い至ったのでしょう。帰らなくてもいいから龍神様になってと・・・。


 自分の力を超えた状況になった時、自分ではどうしようもなくなった状況になった時に、「もう諦めた」とよく口にします。この諦めも、とても大切な心の動きなのかもしれません。自分ひとりで頑張ろうとしていた手をあげてしまい手放す・・・そういう作業なのかも。そして、手放した後に訪れるものには何か自分だけでは見つけきれなかった事柄・モノに遭遇する可能性が巡ってくるのかもしれません。

 今日、訪れた仮設住宅では、住人たちが輪になって体操後の談話を楽しんでおられました。その輪の中に入れてもらい、しばらく皆さんの話を聴いていくうちに、「震災になってどうしようもなくなった・・・でも、これは仕方ない。もうこれは諦めさ。運命だと思って諦めるしかないさ」という表現が出てきました。でも、それは何も出来なくなった諦めには聞こえませんでした。「運命がしたのだから、運命が次も何か良い事を運んでくるさ」・・・諦めよりも、期待さえこもった嬉しそうな顔をして話しておられようでした。

 震災が運命なら、諦めるという受け止め方をした次に良きことも運命が運んでくる・・・思える心も生まれるのかも、と感じました。


 今日の地元スタッフは、戸倉地区の仮設住宅を個別訪問しました。

 ある仮設住宅では、手芸のグループを訪問。なかなか訪問できず久しぶりの訪問にスタッフも緊張していたようですが、グループの方々が迎え入れてくれる心に緊張もほぐれ良き出会いを作れたようです。

 思い描き良き出会いを希望するがゆえに、逆にぎくしゃくしていしまいがち。偏見や思い込みを脱ぎ捨て新鮮に出会えるようにするためにも、期待を手放す必要性を感じるのも、いい学びになるのかもしれません。(記:宇根)
 
 








アリーナカフェ~part7継続が力になる時

アリーナの2Fのラウンジで
キャンピングカーで・・
今日は、アリーナカフェの日。先週に引き続き、今日も寒さ対策のためにアリーナの中を借りての開催でした。


 いつもの図書館の前にキャンピングカーを設置し、またアリーナでは2Fのラウンジをカフェ風にアレンジして行いました。


 参加者は、これまでよりも少なく15人の参加でした。これには幾つかの要因がありそうです。この曜日の診療所の利用者が少ないことや寒さで役場関係者もなかなか出てこれないとか・・・。
 それでも、参加者の数の多い・少ないはあまり関係ないでしょう、というのがスタッフの感想でした。参加者の数よりも、今は続けることに意味がある事。毎週でもカフェを開く事でここに誰かが居る事を伝え続ける事・・。が大切だと思うというのがスタッフの声でした。そして、今日は、そのようなカフェを続けている事が力になるような経験がありました。

こののぼりを見て来た方が
一つは、目印ののぼりに書かれている「ケアカフェ心香」という言葉に気がついて立ち寄って下さったこと。
 その方は、以前仮設住宅で開いていたケアカフェ心香に参加されていた方でした。「あの時のカフェ!・・だと思って寄ってみました」と嬉しそうでした。そして、苦しかった経験、病気のこと、家族とのこと、そしてこれからの残された命を使ってどうして人生を送るか、を話していかれたのでした。残された人生を生きていける力を見つけた事を話される表情は、とても嬉しそうでした。仮設住宅では出会えなかった方との出会いがアリーナで生まれるのも、ここでカフェを開いているから・・なのでしょう。

偶然に出会った方を案内して・・
もうひとつは、地元スタッフが避難所で一緒だった方との出会いでした。避難所から町外の仮設住宅に移ってからは出会う機会はありませんでした。今日は、たまたま役場に用事があって来ていた時に、地元スタッフが気がついて声かけをしたのがきっかけでした。偶然の出会いですが、この地でカフェを開いていないと出会えなかったでし
ょう。これも継続の力を感じる経験でした。


県外からの支援者と記念に
他にも、発災時に支援に来ていた医療関係者の方が偶然に立ち寄られました。
 知人の医療関係者のに南三陸町を紹介して回っていたようです。一緒に町を回りながらも、震災の被害の大きさに衝撃を受けられ、写真を撮るにも取れなかったくらいの心になっていたと涙ながらに話してくれました。それでも、地元スタッフの姿に触れ、話を聞けたことで安心と喜びが生まれたようです。地元スタッフも南三陸町の事を未だ未だ純粋に思っていてくれる人に触れられたのは刺激になったようです。

このような出会いも、アリーナでのカフェの賜物かもしれません。

地元スタッフの感想です・・・
★「今日のアリーナカフェは出会う人数は少なかったのですが貴重な出会いを受け取る事が出来ました。他県からの方との出会いの中で『 震災後にすぐに南三陸町に来たかったけどやっと来る事が出来た。被災地を見て涙が止まらなかった 』とその方は涙を拭き取りながら話して下さいました。
今日の出会いのように私達自身が『 まだ被災地の事を思って下さる方が居るんだ』 と心が暖まる時間をカフェで過ごせるのも素敵だなぁと感じてます。他県の方とも触れ合えるアリーナカフェはスタッフにとっても新鮮な場所で励みになるカフェにも思えました。」(るみちゃん)

★「晴ればれのアリーナカフェほんのすこし、冷たい風が冬の訪れを感じます。
今日は、今この被災地で自分のできることをみつけ、自分の生き方を、この被災地に求めるMさんと出会えることができました。今日もお仕事の休憩時間に訪ねてくださいました。この被災地に心を寄せてわすれないでいてくださり、とてもありがたく、嬉しかった。」(えみちゃん)


出会いのチャンスを頂ける為にも、カフェの開催を続けていきたいものです。(記:宇根)






2013年11月19日火曜日

「思い出」を力にして生きる


作品を作り、イキイキ。
 震災前に積み上げた人との関係、大切にしてきた「思い出」。今日は、「思い出」を通して、震災後の生き様を見せていただきました。

 

「よく晴れた爽やかな小春日和。今日は中田蓬原・南方仮設住宅を訪ねて行きました。蓬原に住宅再建されたSさん。お一人で留守番。突然の私達の訪問を心良く迎えてくださいました。「やっぱり南三陸の人と話しするのは嬉しい。」といって、今日は初めて家族の問題に心を傷めていることをお話してくださり、『私の胸に手をあてて話しを聞いてもらい、すっきりした。』とおっしゃり、笑顔を見せてくださいました。今日の訪問がSさんにとってこころの解放になったこと、とても嬉しく思います。またこれからもSさんに寄り添い続けたいと強く願います。」(記:えみちゃん)

 

人との出会いの軌跡が
壁一面に並ぶ。
「今日は隣町の仮設住宅を訪問してきました。談話室前のメイン通り?を歩いていると色々な方と出会うことができます。
先週末、南三陸町の小学生のビニールバレー大会がありました。私も小学生の子供がいますので、応援に行きましたがその会場で、カメラを片手に、傍らにビデオカメラを設置し、試合の模様を一心不乱に撮影しているお父さんが一際目を惹きました。その方に今日は出会うことができました。「いい写真は撮れましたか?」と聞くと「震災で写真もビデオも全て流された。これからでもいいから、思い出を残してやりたいと思って…」と少々恥ずかしそうに話してくださいました。子供の成長の記録を残してやりたい、なくなったものを取り戻そうと思えるのは、前に向かって進んでいる証拠。守りたいものがあるって大きいな~と思います。
また、独り暮らしの七十代の男性ともお話し出来ました。家の中はまるでからくり屋敷。訪れた方達の写真が壁一面に貼られ不思議なものがたくさん…「いかに楽しく暮らせるか、色々な工夫や努力をして生きてるんだ」とのことでした。独り暮らしを寂しいとかつまらないと思うのではなく、常に前を向いて歩もうとする姿に元気を頂きました。
幸せは待っているだけではいけない、努力とそして、自分の心が決めるのですね。」(記:ようちゃん)

 

 入谷地区Cocoタイムで作った思い出。楽しく、気分転換になった思い出を写真にして、参加者に配布したスタッフ。厳しい毎日の生活に戻られ顔がこわばっていらっしゃった方でも、一瞬「あ、あの時のね」と表情を和らげられました。

前に進み続ける時間。新しい時が毎秒刻まれていく中で、過去にすがるのでもなく、時間しのぎに今を生きるのでもなく、「思い出」は力にして、可能性に開かれた出会いの中で今を生きたいと願います。(記:林)
 
 
 

2013年11月18日月曜日

生きる焦点をどこに当てるか


今日の出会いは、二年と半年が過ぎた志津川地区、仮設集会所から始まりました。

かつてのにぎわいはなく、限られた人数での開催です。自宅再建による転居、アルバイト、デ―サービス利用、通院や入院など生活を落ち着かせ、仕事やサービスを入れて、今を生きようとされるそれぞれの方の姿がここにあります。残された住民の方は、共に過ごしたお茶飲み仲間と別れを告げ、老化する体とはっきりしない将来を前に、寂しさと無力感を感じていらっしゃるようでした。うんと苦労して生きて来られた方でも、一抹の寂しさ、今の苦しさを味わわれています。

移りゆく状況、揺れる心。人は移りゆくものにただただ翻弄されるしかないのでしょうか。

 

スタッフがそれぞれ個別に訪問させていただいた午後も、変化する状況の中で生きる人々の姿に出会いました。

二年半たった今になって何らかの理由で集会所でのお茶会ができない仮設住人の苛立ち、マイホームに移り住むことができたのに、かえってやる気が起きなくなり、人間関係で苦しんだ過去の職場を思い返す自宅再建者の方、津波で残った家の近くの見晴らし台で遠くを見つめる方、家の再建もままならず、家族関係に打つ手がない中、近くに住むことになった同級生の家に顔を出し胸の内を吐露される方。それぞれの思いを胸に、今日も生きる選択をしていきます。

ある方は、心に留まった新聞記事を切り抜き、ノートに貼っていきます。心に留まる記事を詳しく見せていただくことはありませんでしたが、「これこそが大切な事」というご自身の信条がきっと隠れていることでしょう。

震災や津波によって、この世のほとんどのものが「移りゆくもの」であると学んだ方は少ないでしょう。究極的な状況の中で見た「大切なもの」。しかし、しばらくすると再び「まさか」の出来事に体や精神、心が奪われていく現

実を目の当たりにします。

改めてこの厳しい現実をどう生きるのか、本当に大切な事は何か、生きる焦点をどこに向けるか、大切なことへのまなざしをどう向け「続ける」か、考えさせられました。(記:林)

2013年11月15日金曜日

スタッフのcocoタイム~in石神彫刻工房&秋保

工房の平泉さんと一緒に
敷地内のお地蔵さんを見て
 今日は、スタッフのための「cocoタイム」を行いました。日頃、活動に頑張っているスタッフのご苦労様をねぎらい同時に休養に充てるための「cocoタイム」時間です。行き先は、これまで手のひら地蔵を送って下さった「石神彫刻工房」への訪問、そして秋保温泉でのリフレッシュでした。下記に、参加したスタッフの感想を記載して報告にします。


気に入ったお地蔵さんと一緒に
つい手を合せてしまい・・・
今日のスタッフ研修は心も体も安らぐ癒しの1日でした。終わり行く紅葉の景色を見ながら車をゆっくり走らせ、普段見れない景色にうっとりとしていつもの疲れが一瞬で飛びました。見学した石神工房ではお地蔵様が1つづつ違う顔や形になっていて何時間見て居ても時を忘れる感じでした。私の、特に気に行ったお地蔵さんは横になって微笑んでいるお地蔵さんです。狭い仮設暮らしの私にとってこんなにゆったり優しい表情で暮らせる生活になれたら幸せなのになぁ~と感じました。心暖まる時間を過ごせました。
今日の素敵な時間を胸に閉まって、日々の出会いも大切に受け止めて行きたいです。(るみちゃん)

気に入ったお地蔵さんを記念に
皆で昼食タイム
曇り空のした、たどりついた、山間にある石神彫刻工房。落ち着いた空間のなか、ゆっくりと流れる時間をあじわい、自分をHUGしていました。静かに癒されていく心が、清々しく、安らぎさえ感じる。今日は、命の洗濯。この時間を、もてたことに感謝して、ありがとうございます。(えみちゃん)

 ※石神彫刻工房では、かわいい彫刻がたくさんあって、親子共々とてもいやされました。とても楽しい一日でした。ありがとうございました。(じゅんこさんとこうへいくん)
紅葉をバックに記念撮影

石神彫刻工房に行って見て想像以上に素晴らしいというか、いやされる空間の所でした。工房の奥様もおだやかな人でした。その後に昼食を頂き、温泉に入って本当にいい時間をありがとうございました。(すみちゃん)

今回は、スタッフが全員揃うことが叶わず、半分の人数になりました。参加できなかったスタッフにも沢山のおみやげ話と癒された心を分かち合えたらと思います。

多くの地蔵さんと秋の自然に癒されリフレッシュになりました。このいただいた心を元にまた来週から、自分自身と多くの方々の命に心に寄り添っていけたらと思います。(記:宇根)




2013年11月14日木曜日

再建するものは、いったい何?

ひとり暮らしの男性が育ててる花
今日は、町外への訪問の日でした。

町外には多くの南三陸町民が引っ越していっています。その中でも、自宅を再建して生活が始まっている方々もおられます。私達HUGハウスでも何人かの再建された方々を訪問していますが、様々な課題を背負いながらの生活のようです。

 ある男性を訪問しましたが、その方は一人暮らし。他の家族は南三陸町内の仮設住宅内で暮らしていますが、高齢の男性だけが新しく再建した家でひとり暮らしなのです。自宅を再建したものの、家族が一緒に生活するためには、家を建てるだけではなく積み上げられた課題を修正・解決しなければいけなようです。課題解決にまだまだ時間がかかるうちは、その男性の一人暮らしは続くようです。再建という言葉はいいのですが、本当の再建とは家族の再建だと考えさせられます。家族の本当の再建に向けて、支援している私たちがその男性との関係をどう築いていくといいのか・・考えさせられます。
大事な神棚に手を

仮設住宅の前で日向ぼっこしながら
町外の仮設住宅で地元スタッフは、偶然に出会いがありました。

 地元スタッフの祖父を知っている方との出会いでした。不思議な出会いを、その方は「神様のおかげ・・・守ってくれている霊のおかげ」と新しく付く作った神棚に手を合わせていたようです。どのような力が働いているのかまでは分かりませんが、出会いにはやはり何かの力が動いているのかもしれません。この感性を忘れてはいけないのかもしれません。
 その出会った方は、震災で流されたものを一つ一つ数え上げてみたそうです、結果失ったものを換算すると一億近い値段になってしまうと。それだけの喪失だと落ち込みも酷いものかと思いきや、その方は「今が一番充実した日々」と嬉しそうに話してくれました。不満を並べるのではなく、今の状況を与えられたもので心を育てているという話でした。ゼロ日からでも再建していけるものは心で、それが出来たら良いと・・・・。訪問した地元スタッフは、その信心と懸命さに触れたようです。


 昨日より、三滝堂HUGハウスの整備が行われています。
 
 北側の立て付けの悪くなった雨戸をアルミサッシに交換です。昨冬にはビニールのカーテンで冷たい風をしのいできただけに、今回の改修はどんなに心待ちにしていたか。地元の大工さんが手際よくサッシに変えていきます。これも再建!?・・・。(記:宇根)



















2013年11月13日水曜日

積み上げていくもの、手放していくもの


冷たく澄んだ空気の中で
 急に冬の寒さが訪れ、浜の風が冷たく感じます。

志津川地区仮設のカフェ開催でスタッフは声かけにまわってみます。結局ご夫婦一組の参加。さながら個人宅訪問のような時間となりました。寂しい気もしますが、こんな日があってもよいのです。大勢の中では話されることがなかった思いが語られました。

二つだけのカップ
かつて研究に研究を重ねて改良し編み出した漁の仕方は、カフェ開催二年経って初めて語られたこと。Eさんにとって生きてきた証しであり、誇りです。今となっては当たり前になっている様々な技術は、Eさんのように工夫を凝らして積み上げられた努力のおかげということを思い出させてくれます。

一方で、積み上げられたものは継がれることなく、流された家の再建はまだ遠く、ただただ感じる体の衰えという現実が身にしみます。同級生の死が重なり、いよいよ自分の番かという思いがよぎります。逝ってもいいかという思いと残されたこの世での仕事の狭間で、揺れる心。沈黙が続きます。

しばらくして両親を介護してくれた妻へのねぎらいの言葉が出てきます。それから…

「じいちゃんは、良い死に方をした。」

みんなに囲まれて亡くなっていかれた父親を思い出します。

死に際に親戚、家族みんなが囲んで「まぶる」(=看取る)のは、Eさんにとって理想的な死。沈黙の中で遠くに目をやり思いをはせるEさん。共に沈黙で受け止めるスタッフ。

ご自分の思いを受け止められる時間。ケアカフェならではの大切な時間です。

 


仮設を巡回する「売り方」
 午後には、スタッフ3人がそれぞれ個別訪問に出かけました。

お茶会でいつも元気におどけて見せても、家の中では介護と人間関係の軋轢で体調がすぐれない方、人とのつながりや絆で支えられている方、認知症の方で訪問するスタッフに気遣う方、人との交流を避けながら住宅再建までじっと耐えて生きられる方、様々な出会いがありました。

 生きるために積み上げられたもの、手放したもの、手放さざるを得なくなったもの、死のために手放さなければならないもの、消えることのない積み上げられた人の存在の深み。
今日はそのような気付きをいただいた出会いでした。(記:林)