2013年10月28日月曜日

傍らに寄り添う

「私はね、歌が好きなのさ。家では歌うかって?歌わないよ、だって聴いてくれる人が居ないからさ。歌を聴いてくれる人がいるから、歌えるのさ。」
 
あるデイサービスを訪問した時に、こう話してくれた80代の男性がおられました。たいそう歌が好きで、本人は歌という歌はなんでも好きで、何曲も歌えると嬉しそうに話してくれました。持参した歌の本を引っ張り出して、瞬く間に3曲も披露してくれました。本当に好きなんだ!という思いが伝わってきました。
 「聴いてくれる人がいるから、歌えるんだ」と言われることは、傾聴に通じるものがあります。本当に聴いてくれる人が居ないと、内面の様々な想い、調べを口に出せないのと同じだと思いました。聴いてくれる人、自分の事を気にかけてくれる人の存在があることは、人を活かすことに繋がるんだろうと実感します。

 一方、歌を披露してくれた男性の近くに座っておられた女性は、「私はね、ひとりぼっちなのさ・・・誰も居ない。相手が居なくなってしまった。相手がいないということは寂しいものだよ・・・、もう早く逝ってもいいくらい・・・人は相手が居なくなったら、おしまいだね」と寂しい想いを抱いておられました。周りで歌を聞いてもらえる人に、自分が受け止められていると感じているのとはまったく違う感じ方をされているんだと思いました・・・「こうして人がいっぱいいても、一人ぼっちさ」と涙を流されるその方の寂しい想いに、その傍らで静かに寄り添わせてもらいました。


今日の活動は、志津川地区の老人施設への訪問でした。
施設へ訪問
施設内のデーサービスと入所エリアを、スタッフ5人で別れて訪問を行いました。多くの方々が利用されており、またデイサービスに出席している方も多いために出会いも豊かです。

活動と出会いの報告を地元スタッフの感想と併せて下記に・・・。
「親をちゃんと最後まで面倒を見るという事が大切だという事を教えてもらったように感じます」と感想を抱いたのは、地元スタッフの「ようちゃん」。ようちゃんが出会った方は、苦労させられた姑の面倒を最後まで見た時に、ありがとうという言葉ですべてが報われた・・・と話してくれた方。その想いを受けて自分の親の面倒を考えさせられたようです。
帰りに利用者が育てた野菜を購入

「今日も、また同じ話し・・・孫の話から始まり、震災で流された話し、そして流された嫁の話し。今日の同じ話しだなって思ったけど、話の前に深呼吸して、同じ話でもちゃんと受け止め得られるように意識した」と話したのは地元スタッフの「すみちゃん」でした。出会う方が例え同じ話でも、一期一会で大切に受け止めようとする努力が伝わってきます。

「今日も、部屋に入って声をかけましたけど、反応がありませんでした。・・・自分の無力さを感じます」と感想を持ったのが、地元スタッフの「けいちゃん」。ベッドに横になったままで会話ができるかわからない方。それでも、たった一度、名前を口にしてくれたことがあり、それ以来反応があるか無いかに関わらず声かけを続けているようです。今日も感じる無力さは、大きな学びの機会になるでしょう。


午後からは、個別訪問を行いました。
訪問先での出会い
★一ヶ月前に家族が旅立った方のもとへ、・・・「なんだか、ぽっかり穴が空いてしまったみたい」とこぼされていました。ぽっかり空いた空いた穴を埋める歩が時間と共に進んでいき、そこに共に居させてもらえる存在になれることを願いたいものです。
★アリーナでのカフェの時に、自分の想いを語られていた方を訪ねました。次回、行われるスタッフ研修に興味を持たれていたので、お誘いしをしました。カウンセリングや傾聴に興味があるようでしたので、意識ある方と繋がる機会が増えるのを嬉しく思いました。

(記;宇根)






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